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最初に、下宿生の仕送りや生活費の平均を知っておきましょう。
「令和3年度『教育費負担の実態調査結果』」によれば、年間平均仕送り額は95.8万円(月額7万9,000円)。
約8万円が平均と見ていいでしょう。
参照:日本金融公庫・令和3年度教育費負担の実態調査結果(PDF)
次は、下宿生の平均生活費です。。
「第57回学生生活実態調査」(令和3年)によれば、下宿生の平均生活費(月額)は12万6,100円。
仕送りだけでは生活が厳しいことがこの結果で出ています。
食費 | 2万4,570円 |
住居費(家賃、光熱費、水道代など) | 5万2,560円 |
交通費 | 4,230円 |
教養娯楽費 | 1万1,520円 |
書籍費 | 1,710円 |
勉学費 | 1,830円 |
電話代 | 3,800円 |
その他 | 1万3,470円 |
貯蓄・繰越 | 1万4,300円 |
合計 | 12万6,100円 |
一方、貯蓄・繰越の平均が1万4,300円であることから、仕送りでは足りない分を奨学金やアルバイトで補っていることもこの結果からわかります。
参照:全国大学生活協同組合連合会「第 57 回学生生活実態調査 概要報告」(PDF)
ただ、平均より多くの収入があっても、支出が多すぎてお金に困る大学生もいます。
そのような大学生は、往々にして「親に援助してもらえばいい」「借金すればいい」などと安易に考え、限られた収入の中で生活費をやりくりする意識が薄い傾向があります。
子どもがそのような考えを持たないためにも、親は子どもが家を出る前にに仕送りのル―ルや生活費を上手にやりくりする方法をしっかり子どもに伝える必要があります。
子どもに伝えるべき仕送りのル―ルは3つあります。
※その実例として、各項目でわが家の体験談をご紹介します。
毎月の仕送り額は、家賃の相場などを考慮して設定する必要があります。
子どもは首都圏の大学(理系学部)に進学しました。
そのため、家賃の高さやアルバイトのしにくさを考慮して仕送り額を平均より2万円多くしました。
また、その金額から「親が家族割で払う携帯代を引いた金額を毎月仕送りする」というルールも設けて子どもに了承してもらいました。
経験から言えば、親が子どものお金の使い方をチェックできる仕送り方法がおすすめです。
親が通帳の明細で子どものお金の使い方を随時チェックできるからです。
たとえば、犯罪被害(加害)が疑われる口座の動きがあっても、親が口座の動きを把握していれば早期に対処できます。
また、子どもの金遣いが荒いと感じたら、それを改善するためのアドバイスもすぐにできます。
親が子ども名義の通帳で仕送りを入金し、子どもはキャッシュカードでお金を引き出す形にしました。
そのおかげで、口座の怪しい動きから子どもが金銭トラブルに巻き込まれたことがわかって早期に対処できました。
予期せぬ出費で生活費がピンチになった時など、「臨時で親に金銭援助を求める時のル―ル」も取り決めておく必要があります。
わが家では以下のルールを決めて子どもに伝えました。
(1) 生活費が足りない理由を具体的に伝える
例:〇〇が理由で〇円足りなくなった
(2) 臨時で金銭援助を受ける目的や金額などの明細を親に送る
例:実験用作業着の購入で〇円(購入価格)が必要になった。
(3) 原則として1円でも請求額以上の金額を援助しない
(4) 親とお金の使い方について改めて話し合う時間を設ける
経験から言えば、親がこのようなルールを設定すると子どもが生活費のやりくりを自分で工夫するようになります。
大学生の多くはアルバイトをしていますが、稼ぐことに夢中になりすぎると大学の勉強が疎かになります。
そうなると、留年や中途退学、奨学金給付中止のリスクが大きく上がります。
さらに、バイト代が一定額を超えると学生自身に税金や社会保険料の納付義務が生じ、親の扶養控除がゼロになる点にも注意が必要です。
≪画像元:国税庁「No.1180 扶養控除」≫
※親が扶養する大学生(19~23歳)は「特定扶養親族」に該当します。
それを回避するためには、バイトを決める前に働き方のルールを親子で決めておくことが必要です。
たとえば、
・ 学業に支障がない範囲で働けるバイトを選ぶ
・ 月収(年収)〇円を超えないように働く
・ 働くのは週〇日(〇時間)までにとどめる
などのル―ルを決めておくといいでしょう。
それによって働きすぎによる学業への弊害を回避できます。
最後に、一人暮らしの大学生におすすめしたい「毎月の支出を上手に節約する方法」をご紹介します。
下宿の更新時に家賃交渉を行うと家賃が下がることがあります。
ダメ元で家賃交渉を行ってみましょう。
不用品を売れば収入が増えます。
また、部屋がすっきりして必要なものがすぐ見つかるようになるので、重複買いなどのムダ遣いを防げます。
実家にあるいただきもの(食品等)など、親からの支援物資を上手に活用するのも節約に役立ちます。
最初から生活費のやりくりを上手にできる大学生は多くありません。
そのため、大学進学前に子どもが一人でお金を上手にやりくりする「ヒント」を親から子どもに伝える必要があります。
この記事では、その「ヒント」をいくつかご紹介しました。
それを参考にしながら、大学進学後に一人で上手に生活費をやりくりする「ヒント」を親が子どもに伝えましょう。(執筆者:元銀行員 FP2級 大岩 楓)
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