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既に動き始めている長期金利(指標は10年債利回り)動向について解説します。
≪株式マーケットデータサイトよりデータを取得して筆者が作成≫
上図は、過去の日米10年債利回り推移を示したものですが、2022年3月初旬頃までは水準は違うものの、日本の10年債利回りはアメリカの10年債利回りにある程度連動していました。
これは、グローバル化に伴って世界経済全体がある程度連動せざるを得ないためと考えられ、日米だけに限らず米独などの金利関係にもみられる動向です。
2022年3月初旬以降にこの連動が切れたのは、日銀のYCC(イールドカーブコントロール)によって、日本の10年債利回りの許容上限(その頃の上限0.25%)以下に抑えつけられていたためです。
上述の金利の連動が今後も続くとともに、現時点での情報を合わせて考察しますと、長期金利は0.5~0.9%程度のレンジ内で動くのではないでしょうか。
YCCがなければ、上図から現在の日本の10年債利回りは0.7%程度水準が妥当だと思われます。
そうしますと、日銀がYCCによる10年債利回りの許容上限を0.75%に引き上げたり、YCC政策そのものを撤廃したりすれば、その水準まで国債市場金利は引き上がるでしょう。
さらにアメリカのFF金利のターミナルレート(最終到達金利)は、FOMCによれば現時点で5%強水準だとみられております。(通貨先物市場では5%弱)
そうなりますと、アメリカの10年債利回りは3.9~4.0%程度ということになり、そこから導かれる日本の10年債利回りは0.9%程度ということになります。
こういった理由により、長期金利が0.5~0.9%程度のレンジ内で動くと考察しました。
10年固定の住宅ローン金利も、現時点からあと0.4%程度の上昇余地があることになります。
短期金利につきましては、OISレートから考察してみました。
OISとは、「固定金利」と「一定期間の無担保コール翌日物金利」を「交換(Swap)する」取引きのことで、その時の固定金利は「OISレート」と呼ばれ、ほぼ金融政策(政策金利)の見通しだけを反映して決まるとされています。
直近(2023.1.13)時点でのOISカーブは下図になります。
上図によれば、市場は、2年後以降に本格的に政策金利が上がるとみているようです。
金利水準につきましてはこのレートがどこまで参考になるかは私自身、微妙だと感じておりますが、住宅ローンの変動金利の指標である短期プライムレートが現時点の最頻値1.475%から動き始めるとすれば、その時期頃から0.15~0.2%程度を手始めに上昇するのではないかと読み取りました。
ただし、新規住宅ローンの変動金利につきましては、短期プライムレートが動かなくても優遇金利幅を縮小することで実質金利を上げることはできますから、2年以内でも若干上がる可能性はあります。
今回の考察は、あくまで現時点での私の見解であります。
ご判断等につきましては、ご自身で責任を持っておこなってください。
金融政策や金利動向につきましては、さまざまな要素(経済・雇用情勢、政治状況、国際情勢等)が複雑に絡んで決定されますので、予測するのは容易ではありません。その点をご留意ください。
その意味では、今後の注目ポイントは直近では、
などが挙げられます。
あとはもちろん、ウクライナ情勢の行方も重要です。注視していきましょう。(執筆者:CFP認定者、1級FP技能士 小木曽 浩司)
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