- 週間ランキング
相続税の申告期限「10か月」を意識すると、遺産分割がまとまりやすい理由
暦年贈与とは簡単に言えば、毎年少しづつ贈与することで、受贈者(もらう人)1人あたりの毎年1月1日から12月31日までの1年間(暦年)の贈与額が110万円以下である場合には贈与税がかからない(非課税枠がある)贈与方法のことです。
110万円超については誰からの贈与であるかにより2パターンの贈与税率表が定められております。
毎年110万円であっても、複数人に複数年かけてコツコツ渡していけば、相応の金額になり相続税を節税できるので、相続税対策としては王道でしょう。
しかし、非課税枠の110万円という印象が強すぎて、本当はもっと暦年贈与で渡したほうが節税という意味では有利に働くのにそうなさらないケースが散見されます。
目先の贈与税を惜しんでトータル的に損をしないよう、該当する場合は暦年贈与の増額を検討してみてください。
相続税を支払っている割合がどのくらいかをご存じですか。
≪財務省 相続税の改正に関する資料より≫
平成27年から基礎控除の水準が引き下げられていても令和元年の相続税の課税件数割合は8.3%です。
お亡くなりになられた方100人に対して相続税を支払っているのは約8~9件ということです。
現時点では、9割以上の方は相続税の心配はありませんので暦年贈与については年間110万円の非課税枠にこだわるべきでしょう。
そうでなければ無駄に贈与税を支払うことになります。
相続税が課税されるかどうか自体がわからないでしょう。
まずは、遺産総額が基礎控除額以下なのかどうかが目安となります。
※ 遺産総額とは、プラスの相続財産+みなし相続財産+3年以内贈与財産+相続時精算課税制度対象財産-マイナス相続財産。
2022年時点での基礎控除額計算は下記になります。
遺産総額がこの基礎控除額以下なら相続税は課税されません。
あとは、各種控除や特例を利用出来れば、遺産総額がこの場合より多くても相続税は課税されませんが、詳細につきましては、今回は省略させて頂きます。
反対に非課税枠110万円にこだわらずに暦年贈与の増額を検討したほうがいい場合とは、それは相続税の課税から逃れられない場合です。
暦年贈与の特例税率の場合の実際の税負担率は下図になります。
特例税率表とは異なりますので注意してください。
一人あたり500万円の贈与でも実際の税負担率は相続税の最低税率である10%未満になります。
相続させるより贈与したほうが有利ということです。
また、この節税効果は相続税の適用最高税率が高い場合ほど高くなります。
相続税の適用税率と上記税負担率を比較の上、贈与額を検討されるといいでしょう。
相続税が課税されない場合は非課税枠110万円にこだわる必要がありますが、相続税が課税される場合にはこだわる必要はないという事です。
実際にはさまざまな状況があり、いろんなことに留意する必要があるのでご了承ください。
今後の税制改正によって基礎控除額計算、持ち戻しルール等が変更される可能性も併せてご留意ください。(執筆者:CFP認定者、1級FP技能士 小木曽 浩司)
【お祝い金の贈与税】同じ金額でも課税されない贈り方、受け取り方
死亡した親の銀行口座が凍結されるタイミング 死亡後の口座名義手続きについて詳しく説明