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どうして一定枚数を超える硬貨の取り扱いに手数料がかかるようになったのでしょうか?
その背景を知るヒントとして、各金融機関における手数料の水準を見てみましょう。
【硬貨の枚数が600枚で3,000円だったと仮定】
金融機関名 | 窓口での入金手数料 | 窓口での両替手数料 | 備考 |
ゆうちょ銀行 | 1,100円(501枚から1,000枚) | ―― (両替は取扱いなし) | 枚数や取引(カードや通帳の呈示)に応じてで無料になるケースも
|
三井住友銀行 | 1,100円(501枚から1,000枚) | 1,540円(501枚から1,000枚) | 枚数や取引(カードや通帳の呈示)に応じてで無料になるケースも |
三菱UFJ銀行 | 1,100円(501枚から1,000枚)
| 1,1000円(*) 500枚までが550円、501枚以上は500枚毎550円を加算 | 枚数や取引(カードや通帳の呈示)に応じてで無料になるケースも |
りそな銀行 | 1,320円(501枚から1,000枚)
| 1,540円(501枚から1,000枚) | 枚数や取引(カードや通帳の呈示)に応じてで無料になるケースも |
横浜銀行 | 1,540円(501枚から1,000枚)
| 1,540円(501枚から1,000枚)
| 枚数や取引(カードや通帳の呈示)に応じてで無料になるケースも |
京都中央信用金庫 | 1,100円(501枚から1,000枚) | 1,100円(501枚から1,000枚)
| 枚数や取引(カードや通帳の呈示)に応じてで無料になるケースも |
JA | 1,100円(501枚から1,000枚) | 1,100円(501枚から1,000枚) | 枚数や取引(カードや通帳の呈示)に応じてで無料になるケースも |
ろうきん | 会員は無料、会員以外は550円(101枚から1,000枚) | 1,100円(501枚から1,000枚) | 枚数や取引(カードや通帳の呈示)に応じてで無料になるケースも |
≪記載内容は公式サイトより筆者調べ≫
参照:
三井住友銀行/よくあるご質問/【手数料】硬貨をATMや窓口で入金するときに、手数料は必要ですか?
最初にゆうちょ、メガバンク、地銀や信金の上位行、そしてJA・ろうきんなどを一覧表にしたのは、それぞれを比較して良し悪しを論ずるためではありません。
どの金融機関の手数料がお得か?という意味でもありません。
ここでは、
この2点を感じてください。
最近はゆうちょで一定量を超える硬貨の出金で、手数料を取るようになったことが話題になりました。
しかし、これは決してゆうちょが悪いのではなく、単にゆうちょが最後まで無料で取り扱っていたのが、仕方なく他の金融機関と一緒になっただけです。
ゆうちょに限らず、もともと硬貨の取り扱いは金融機関の「無料サービス」でした。
銀行など金融機関は業務のひとつとして、両替をする義務・使命があります。
そのため預金や支払い、そして両替は銀行の当たり前の仕事として対応していました。
それが「手間がかかる処理に対しては手数料をしはらってもらう」という考えに変わったのです。
これはサービス業(サービスを提供し、その対価でお金をもらう)の基本的な考え方で間違ってはいません。
「銀行が金儲けのために手数料を取る」
「銀行の経営が苦しいから手数料で補填する」
というわけでは、ありません。
入金の場合ですが、銀行窓口ではお客様から預かった現金を算定する専用の機械にセット(投入)すると、即時に効果や紙幣を数え、同時に入金の処理をします。
スーパーやコンビニのセルフレジをイメージするとわかりやすいです。
しかし銀行の機械は精密で、一度に大量の硬貨を入れると故障の原因になるため、その場合は別の機械で処理をします。
「そんなこと言わないで、大量の硬貨でも、機械にぶち込んだらいいじゃない?」と思うかも知れませんが、異物(洋服のボタン、外国の通貨、お店で貰う小さなシール あとパチンコ屋さんのスロットメダルも)や汚れた硬貨などが原因で機械が故障することが結構あるのです。
昭和に流通した穴の空いていない50円玉など、昔の硬貨も異物として弾かれてしまいます
異物が原因で機械が故障すると、その間の処理が止まるので業務が停滞してしまい、もちろんお客様をお待たせしてしまうことになります。
最悪の場合は大量の硬貨が原因で修理が必要になりますが、そうなってもお客様に修理代など請求はできません。
両替の場合は、専門の機械が大量の硬貨を選別し、算定してくれます。
さらにまとまった枚数になると、自動的にビニールシートで巻かれて出てきます。
硬貨は50枚になると1本の棒状にまとめて「棒金(ぼうきん)」にします。
両替も機械が故障しやすいことと、故障した場合の問題は同じように発生しますが、さらにもう一つ手間がかかるのです。
例えば窓口で、釣り銭用の100円硬貨を30,000円分用意するとします。
この場合は100円の棒金が6本になります(100円×50枚=5,000円×6本)。
このとき、5,000円の棒金6本が間違っていないか、窓口でお客様に渡す銀行員以外の職員が再度確認をすることになっています。
これを「再鑑(さいかん)」などと呼びますが、この棒金は間違えやすく、例えば100円を一本多く渡してしまうと5,000円、500円硬貨なら1本25,000円(500円×50=250,000円)もの間違いになってしまいます。
このように人を替え、目を替えた再確認が必要な両替は、昔も今も経費のかかる仕事だったのです。
「面倒くさいばかりで、本当なら手数料をもらいたい硬貨の取り扱いは、今までサービスで仕方なくやっていたけれど、やっと手数料をもらえるようになった」というのが銀行の本音です。
硬貨の入金や両替だけで銀行窓口を利用する人は、銀行が1番相手にしたい顧客層ではありません。
銀行が相手したい相手とは、投資や運用をしてくれる人、相続対策や資産運用の提案を聞いてくれる富裕層の人、あるいは住宅ローンや不動産投資をする人などです。
このように金融サービスで儲かる顧客をビジネスのターゲットにしているので、本音を言えば「大量の硬貨には触りたくない」のです。
硬貨の手数料をもらうようになったのは、
という考え方も根底にあるのです。
普段使っている硬貨は、どれも薄い錆びでコーティング(表面だけが酸化)されています。
表面が酸化することで逆に硬貨が長持ちするのですが、それでも長く流通しているうちに、錆びや摩耗がひどくなってきます。
例えば日銀から届く発行したての硬貨(新貨といいます)はどれもピッカピカです。
10円玉や5円玉の新貨なら金銅色(卵焼き専門店で使っている焼き器や、和菓子屋さんでアンコを練る銅鍋が近いイメージです)に輝いて、手に取るとキラキラと手につくほどです。
最近は少なくなりましたが、お店の開店や家の建前(上棟式)で屋根からまくお金で5円玉の新貨を「ご縁(5円)がありますように」と使うことがありました。
さらに豆知識ですが、日銀から銀行に効果が届くときは、原則として1種類4,000枚がバラのまま日銀の封印をされた麻袋に入って来ます。
銀行員は棒金1本の金額(100円なら一本5,000円)と同じように、この硬貨麻袋の金額も暗記していました。(10円玉なら10×4,000枚で4万円、100円なら40万円など)
10円に限らず100円や50円、そして1円玉も同じように、最初はピカピカでも人の手を渡るうちに汚れが付着し、表面は酸化(つまり錆び)が進行してきます。
またぶつかって一部が欠けたり、表面がこすれて摩耗したりなどで使えなくなってきます。
それほど古そうではないのに、自販機などで弾かれるのは電気的に拒絶されるという意味で「絶縁硬貨」などとも呼ばれます。
このようにして、錆びや摩耗がひどく使えなくなった硬貨は「汚損貨幣、損貨」などと呼ばれますが、これも銀行にもっていけば両替、入金してもらえますが、こちらも手数料が必要になる場合があります。
銀行が硬貨の手数料を貰うようになった背景を踏まえて、これからどうすればいいでしょうか?
銀行員としての考えを3つ紹介します。
手数料や金利というものは、交渉すれば多少はどうにかなるものです。
例えば預金の金利も、交渉して他の人より高くしてもらうことは可能になっています。
預金金利は自由化されていますので、金融機関の裁量で上乗せ(逆に引き下げも)が可能ですが、ゼロに近い現在の金利水準では交渉してもその効果は微々たるもので、実際に預金金利の引き上げを希望されるお客様はほとんどいません。
いっぽうの住宅ローンなど融資の金利は競争が激しいので、引き下げを求めるお客様との交渉は日常茶飯事になっています。
こうした交渉のときに「住宅ローンの金利引き下げが無理なら他に何とかできないの?」とお客様から言われると、硬貨取扱の手数料をオマケしえくれることがあります。
またローン以外にも投資信託など、その銀行で運用をしているなら「今回は硬貨の手数料をおまけしてよ」と言ってみるのも手です。
手数料をもらうのはあくまで銀行の方針であって、もらわないからと言って銀行が法に触れるとか、払わない顧客が罰せられるなどはありません。
私の勤務する銀行でも、手数料を減らしたり免除する権限が支店長の最良として許可されており、運用残高が多いとか、他の銀行との競合(手数料を免除しないと、住宅ローンを借り換えられてしまう)と言った理由があれば手数料を減免しています。
自分から銀行に交渉を持ちかけるのはカッコ悪い・セコいと考えるか、あるいは取引してあげてるんだから当然の権利だと考えるかは、その人次第です。
しかし私は、銀行と顧客は対等だと本気で考えています。
手数料を交渉するのは、決してあなたが銀行に頭を下げることではなく、あくまで銀行に利益をもたらす立場からの対等な交渉と考え、胸を張って申し出ればいいのです。
私ならお客様から手数料の要求をしてもらえれば、それをきっかけにした次のセールスもしやすくなりますし、住宅ローンを借り換えられないように引き留めることに力を入れます。
これは少し消極的かも知れませんが、しばらく様子を見るのも考えの一つです。
なぜなら硬貨手数料は最近導入されたばかりで、これからもいろいろ変化すると思います。
たとえば条件付きでおまけして、その「条件」をセールスすることが考えられます。
例えば
といったような感じです。
ここまで説明した背景を考えると、硬貨に手数料を求める流れ自体は続くでしょうから「お客様に手数料をキーポイントにしたセールス」を展開することも予想されます。
また少し視点を変えると、手元にある小銭もいつかはお宝になるかも知れません。
たとえば私の両親は商売をしていて、小銭や記念硬貨などコツコツと取っておいたものを、いまは私が引き継いで持っています。
特に母は記念硬貨が好きで、100円や500円といったかわいい額ですが、発行されるたび銀行で手に入れてきました。
こうやってなんとなく集めていたら、いつのまにかまとまった枚数になり、ネットで鑑定額を調べたところ結構な金額になり、でもそのまま持っています。
手数料で一喜一憂するくらいなら、いっそ自分でお宝を創るつもりで大事に持っておくのも楽しみになるかもしれませんね。
銀行との付き合いは硬貨の入金や両替だけではありません。
運用相談やクレジットカードなど他のサービス、そしてマイカーローンや住宅ローンなどいろいろな面から見て「この銀行は硬貨の手数料を払っても付き合い続けるべき相手か?」を考えることが大事です。
例えば硬貨の手数料や振り込み手数料、そしてATM手数料も
と、お得になる方法があったとします。
しかし決まった日の決められた時間に行動を制限されるデメリットや、おトクになる銀行まで出かける交通費や拘束時間まで考え「メリットがあるのか?」を冷静に考えるべきでしょう。
サービスの対価として手数料を払うのは、時代の流れと受け止めるべきかも知れません。
硬貨の手数料はおかしい!と声を上げても、この流れを変えるのは無理でしょう。
手数料がおトクになる方法は「費用対効果」を見極めるべきです。
「手数料を払ってでも付き合う価値のある銀行か考える」ことが重要です。
そして、自分は銀行に利益をもたらしている顧客だと(ダメもとの意味も含めて)手数料減免の交渉をしてみるのが銀行員として1番のおすすめです。
結果の保証はできませんが、あなたが銀行から怒られたりペナルティはありません。
交渉のとき、銀行がそっけない対応をしたなら、あなたはその銀行から優良なお客様とは思われていない証明にもなります。
例えば住宅ローンの金利引き下げを交渉しても対応が冷たい銀行なら、もしもローン返済で困ったときにも冷たくされる心配があります。
このように手数料交渉は銀行のあなたに対する「熱量」を測る良い機会かも知れません。(執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)
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