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余命末期の状態をターミナルと言います。
延命のための治療は行わずに、患者の望む場所で、医師・看護師が中心となって、苦痛を和らげるケアすることを、ターミナルケアと言います。
≪画像元:株式会社ウェブクルー「シニアの安心相談室」≫
ターミナルケアは、3つのケアをします。
身体的ケアは、病気による痛みの緩和を目的に、痛み止めの注射・点滴を投与します。
体の状態を悪化させないために、床ずれ防止として、体の向きを変える体位交換・体を拭いたり、衣服の交換・オムツ交換などの身体介護をします。こちらは、医師・看護師・介護士が中心となって行います。
精神的ケアは、精神的に不安定な状態を和らげる様にします。人は、痛みや死の恐怖から精神的に不安定になります。そんな精神的不安定な状態から、安心させるために、本人の気持ちに寄り添った声掛け・スキンシップを計ります。
こちらは、専門職だけではなく、家族も中心となっておこないます。
社会的ケアは、お金の負担を少しでも和らげる様に、相談支援・援助をします。金銭的負担で本人の負担にならないように、ソーシャルワーカー・ケアマネージャーが、本人と家族に公的支援のアドバイスをします。
残り少ない最期を住み慣れた家で過ごせることで、ストレスが減ります。
家族や親しいご友人の方と気兼ねなく、楽しむ事が出来ます。
最期に好きなこと、好きなものを食べたり、本人の望む最期を過ごせます。
病院では余命わずかと言われた方が、退院して家へ帰ると元気になり、余命2週間が結果、2ヶ月大好きな家で過ごす事ができました。
その方は、大好きな家族と最期の時間を楽しみ、大好きなものを食べて過ごすことができました。家族の方も本当に連れて帰ってよかったと満足しておられました。
1番尊重されるのは、本人の意志です。本人が「残り最期の時間を家で過ごしたい!」と強く望んだ場合は、家でのターミナルケアも選択肢に入ります。
元気なうちに、家族同士で最期に過ごす場所は、どこがいいかを話しておくと本人の気持ちを大事にした最期を迎えられます。
・在宅医をさがす
・介護保険の申請をしてケアマネージャーを探す
在宅でターミナルケアをする場合には、ターミナルケアをしている在宅医を探します。
もし、かかりつけ医が在宅診療も可能で、ターミナルケアしている場合であれば、問題ありませんが、そうでない場合はかかりつけ医に相談して、ターミナルケアしている在宅診療を紹介してもらう事になります。
この時に介護保険を申請していないのであれば、40歳以上からであれば、介護保険の申請をして、ケアマネージャーを探すことになります。
この申請の窓口は、地域包括支援センター・お住いの市町村の介護保険課の窓口になります。
ケアマネージャーと在宅医が決まれば、担当者会議が自宅で行われ、本人様の今の状況・どういった最期を迎えるのかをケアマネージャーを中心に、医師、看護師、介護福祉士、福祉用具の業者、場合によっては、リハビリ職、薬剤師などと行った専門職の方と話し合いをしてから、サービスが開始されます。
この時に不安な点やこうしてほしいという希望があれば、必ず伝えるようにすると、安心して、ターミナルケアを受けられます。
在宅でターミナルケアとなると、医療保険で訪問診療と訪問看護を利用します。
訪問診療、訪問看護は、訪問1回の受診につき費用がかかります。
また、死亡日及び死亡日前14日以内2日以上ターミナルケアをした場合2,000円(地域差で値段が変わる)の加算がつきます。
在宅で、ターミナルケアの場合は、24時間365日対応してくれますので、急変があっても、看護師、医師が駆けつけてくれるので安心です。
介護保険では、訪問介護、福祉用具のレンタル、その方に必要な介護サービスを依頼します。
多くの方は、訪問介護と福祉用具のレンタルをしますので、この2点の大まかな費用です。
・身体介護0 = 20分未満167円
・身体介護1 = 20分以上30分以上250円
・身体介護2 = 30分以上1時間未満396円
※地域差・早朝・夜間帯によって、値段が変わります。
福祉用具のレンタルでは、車いす・介護ベッドをレンタルすることになります。
1番安いもので、介護ベッドは1,000円~レンタル料金が発生します。
最期の時間、車いすで座ることが難しい場合でも、リクライニングの車いすがあります。リクライニングの車いすは、月々1,000円~レンタル可能となります。
状況にあった車いすをレンタルすることで散歩に連れ出してあげることも可能です。
在宅のターミナルケアは、病院でかかる入院費、ベッド代がかからない分、在宅で最期を過ごす方がコストは抑えられます。
在宅ターミナルケアは、家族の精神的負担、身体的負担が大きい面がありますが、ひと昔前に比べると、在宅医療、訪問介護の整備が国の方針によって進められてきています。
在宅ターミナルケアは、最期まで自宅で、介護を続けたい家族を支えてくれます。
もし、心の片すみにでも、最期は家で過ごしてあげたいと思われている家族がいる場合は、踏み出してみてください。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)
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