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脳血管疾患とは、脳のトラブル、全般の事を言います。
一般的に多いのは、脳卒中です。
その脳卒中も2種類に分類されます。
脳内の血管がつまる脳卒中は、脳梗塞です。
脳内の血管が出血する脳卒中は、脳内出血・クモ膜下出血です。
≪画像元:脳梗塞リハビリステーション長野≫
原因は、主に高血圧です。
脳血管疾患を引き起こさないようにするには、血圧のコントロールが必要になります。
生まれつき、血圧が高い方は、血圧を下げる薬が必要になります。
また、食生活では、塩分の高い食生活・喫煙・飲酒は血圧をあげる原因になるため、控えた方が脳血管疾患を引き起こすリスクを下げられます。
脳血管疾患は突然発症して、最悪命を失う事があります。
そして、命が助かっても後遺症が残る可能性が70%です。
発症すると、なんらかの後遺症が残ります。
≪画像元:脳梗塞リハビリステーション長野≫
脳血管疾患の後遺症は、片マヒ・言葉が出にくくなる失語症など、生活に支障が出るものばかりです。
ただ、こういった後遺症を抱えながらも、公的支援・介護サービスを使って、在宅で、生活されている方が、数多くいます。
脳血管疾患になると、まず入院して治療が必要になります。
そして、脳血管疾患は、治療・入院費が平均100万円と高額です。
そんな時に使えるのが、高額療養費制度です。
この制度は、年齢・所得によって医療費の上限金額が決まり、超えた医療費が戻ってくる仕組みです。
もし、医療費が100万と高額になると、70万は国から支払われ、医療費の自己負担が3割であれば30万の負担ですが、高額療養費を申請するとさらにお金が戻ってきます。
≪画像元:ソニー損保≫
脳血管疾患で入院になっても上限が決まっており、金銭的負担は軽減されますので安心です。
申請は、加入している医療保険(協会けんぽ・健康保険組合など)に連絡すると、申請できます。
国民健康保険であれば、市町村の窓口へ行くと申請できます。
後遺症の有無により、障害者手帳の取得が可能になります。
障害者手帳を受けると、3つのメリットがあります。
・ 医療費の助成(医療費の割引・杖や補聴器補装具の助成・住宅のリフォーム工事の助成)
・ 所得税・住民税・自動車税の軽減
・ 公共施設・公共交通機関の割引
障害者手帳を受ける時に介護保険で要介護認定を受けていても、障害者手帳の取得は可能です。
しかし、福祉用具の助成・住宅のリフォーム工事は、介護保険で行う事になります。
申請の相談は、お住いの福祉事務所か市役所の福祉課になります。
脳血管疾患の回復後は、後遺症が悪化しないように、リハビリが重要になってきます。
介護保険では、リハビリを受けられる介護サービスが利用可能になります。
訪問リハビリの料金は、介護度は関係なく、1回訪問するたびに料金が発生するしくみです。
時間 | 基本料金(1割負担) | サービス提供体制加算 | 合計 |
20分 | 308円 | 6円 | 314円 |
40分 | 617円 | 12円 | 629円 |
60分 | 833円 | 18円 | 851円 |
介護の負担割合(1~3割)、交通費、サービス加算で料金が変わります。
リハビリの専門職は、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が訪問して、それぞれの分野のリハビリを行います。
立つ・座る・動くと言った体の動作改善のマッサージ・リハビリ・補装具の指導をします。
日常生活に必要な動作(服の着方・トイレの立ち座りなど)のリハビリをします。
話す・聞く・食べるのリハビリをします。
言葉が出やすくなる口・舌の体操・食べ物を詰まらせない様に、食事の姿勢の指導をします。
訪問リハビリを希望する時は、ケアマネージャーに相談し、医師の診断書を作成してもらうと、訪問リハビリを受けられます。
通所リハビリ、またはデイケアとも呼ばれています。
一般のデイサービスと同じように、入浴・食事のサービスもありますが、主にリハビリに重点を置いています。
≪画像元:佐藤病院≫
デイケアでは、リハビリ用の専門器具を使っての運動、リハビリの専門職がいて、機能回復の訓練を受けられます。
料金は、要介護度と負担割合で変わりますが、1割負担であれば、相場は1日800円~1,500円です。
介護保険の申請は、65歳以上からできますが、特定疾病を抱えている場合は、40歳以上から64歳の方でも、申請ができます。
その特定疾病に脳血管疾患も入っています。
介護保険の申請は、市役所の介護保険課・地域包括支援センターが窓口となっています。
介護保険は、申請に1か月かかりますので、介護保険の申請は、入院中に済ませておき、退院と同時に介護サービスを使えるようにしておくと慌てずにすみます。
介護保険を申請後、リハビリ重視の介護サービスを希望すれば、ケアマネージャーがリハビリ重視のケアプランを組んでくれます。
脳血管疾患は、突然起こり、後遺症を抱えた生活は本当に大変です。
しかし、脳血管疾患は、一歩間違えると死に至る病です。
そこから、生きている事は奇跡です。
障害を抱えた人に対しても公的支援が整っており、介護サービスもリハビリに特化したサービスがあります。
後遺症で困っている方も介護支援を受けながらリハビリを受けることで、生活が楽になることもあります。
ご自身のライフスタイルに合わせた生活のサポートやアドバイス、アイディアなどを活用し、日々笑って過ごしていただけたらと思います。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)