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2022年度から始まる「年金の新制度」は、組み合わせて利用した方が良い
月給から控除される社会保険料は、入社する時の月給を元にして算出します。
この月給には基本給だけでなく、家族手当、住宅手当、通勤手当、役付手当などの、各種の手当も含めます。
そのため扶養家族の多い方は独身の方より、社会保険料が高くなりやすいのです。
結婚によって扶養家族が増えたり、4月などに定期昇給があったりすると、月給の金額が増えるため、それに合わせて社会保険料の金額を、改定する必要があります。
例えば結婚して家族手当を受け取るようになり、月給の金額が約2万円以上増えた場合、随時改定という仕組みにより、家族手当を受け取った月から起算して4か月目に、社会保険料の金額を改定するのです。
一方で月給の金額の増額が、ここまで達しなかった場合には、定時決定という仕組みにより、4~6月の月給の平均額を元にして、社会保険料の金額を改定します。
この定時決定は毎年実施されており、原則的には7月1日時点で、社会保険に加入している方が対象になります。
定時決定によって定められた社会保険料は、随時改定が必要になるくらいの月給の変動がなければ、9月~翌年8月まで適用されます。
ただ社会保険料は原則として、翌月の月給から控除するため、定時決定の場合は10月から、随時改定の場合は5か月目から、月給から控除される社会保険料の金額が変わるのです。
定時決定で4~6月の月給の平均額を算出する際は、上記のように基本給だけでなく、各種の手当も含めます。
また各種の手当の中には、4~6月(例えば月末締めで翌月10日払いなら3~5月)の、残業手当も含めます。
そのため社会保険料の金額を安くしたいなら、4~6月には残業しない方が良いと、主張する方がいるのです。
ただ業種や職種によっては4~6月頃に、年間で仕事がもっとも忙しい時期を迎えます。
これに加えて企業規模が小さいほど、残業時間が長くなりやすいため、個人の努力だけで残業を減らすのは、なかなか難しいと思うのです。
また社員口コミサイトを運営している、オープンワークが行った調査によると、2012年から2021年の間に、国内企業の月間平均残業時間は半分、有休消化率は1.5倍になったそうです。
このように月間平均残業時間が、かなり減っている現状から考えると、残業を更に減らす余地は、少ない可能性があります。
通勤時間の長い方が居住地を変えて、勤務先の近くに住むようにすると、通勤手当が少なくなります。
また働き方を変えて、在宅勤務のテレワークを選択したり、エリア限定の社員になったりした場合にも、通勤手当が少なくなります。
個人の努力で残業を減らすより、4~6月の月給の平均額が、以前より低くなる場合があるのです。
これに加えて通勤時間が短くなったり、通勤日数が減ったりすれば、ストレスの緩和になるだけでなく、時間的な余裕ができます。
そのため社会保険料の金額を安くしたい場合には、4~6月の残業を減らすより、居住地や働き方を変えた方が良いと思うのです。
会社員として働いている方が、所定の受給要件を満たした場合、国民年金から支給される老齢基礎年金と、厚生年金保険から支給される老齢厚生年金を、原則65歳から受給できます。
後者の老齢厚生年金の金額は、勤務先から受け取った月給と賞与を平均した額と、厚生年金保険に加入した月数で決まります。
また月給が20万円、30万円、40万円の方が厚生年金保険に、1か月加入した時に増える老齢厚生年金の目安は、次のような金額になります。
30万円:1,644円
40万円:2,192円
このように月給の金額が多いほど、将来に受給できる老齢厚生年金の金額が増えるのです。
そのため残業手当や通勤手当を減らして、給与から控除される社会保険料を安くすると、将来に受給できる老齢厚生年金の金額が、少なくなってしまう場合があります。
また健康保険から支給される次のような手当金も、12か月間の月給を平均した額で算出するため、金額が少なくなってしまう場合があります。
こういったデメリットがあるため、老後資金の準備が十分でない方や、近いうちに出産する予定がある方などは、給与から控除される社会保険料の金額を、あまり安くしない方が良いと思うのです。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)
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