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新社会人が4月の給与明細を見る際に気を付けるべき2つの注意点
10万円給付金は国民全員に支給されましたが、所得税免除は年収1,000万円未満の方を対象としています。
国税庁が公表している「令和元年分 民間給与実態統計調査結果」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の95.2%は年収1,000万円以下です。
自営業や兼業している人などは調査結果には反映されていませんが、現役世代の大部分は年収1,000万円以下なので、所得税免除が実施されれば、ほとんどの方は対象になる見込みです。
10万円給付金は支給額が固定ですが、所得税の納税額は個々で違いますので、免除額も変わってきます。
所得税が免除されればうれしいのは間違いありません。
しかし所得税免除でより恩恵を受けられるのは、年収の多い方々です。
所得税は累進課税制度を採用しており、課税所得金額が多い人ほど適用される税率が高くなり、納税額も増加します。
配偶者や子を扶養に入れている場合、配偶者控除や扶養控除等の所得控除を適用しますので、同じ年収でも結婚して子どもがいる家庭より、単身者の方が所得税免除の恩恵は大きくなる可能性が高いです。
所得税免除は、所得税を支払っている人にとってメリットのある話です。
扶養の範囲内でパート・アルバイトをしている人や、住宅ローン控除を適用して所得税の納税額が発生しない人は、所得税の免除制度が行われたとしても経済的利益はありません。
また以前行われた10万円給付金であれば、4人家族全員が10万円を受け取ることができますが、所得税免除は働いている人しか恩恵がありません。
年収1,000万円以下で所得税を60万円納めている方の場合、10万円給付金を家族4人で受け取るよりも、経済的利益があります。
しかし所得税の納税額が20万円の家庭の場合は、所得税が免除されるよりも、家族4人が10万円給付金を受け取った方が経済的利益は大きいです。
所得税免除の話は、あくまでも選挙公約の1つとして掲げられたものであり、実際に行われるかは未知数です。
ただ新型コロナウィルスが経済に大きな影響を及ぼしていることを踏まえると、今後給付金や税金の減税・免除の施策が行われても不思議ではありません。
減税や免除制度ができた場合、年収などによって受けられる恩恵が変わる可能性が高く、収入が少ない人向けの施策だと思っていても、実際には収入が多い人の方が恩恵を受けられる結果になることはよくある話です。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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