自分に自信があるとき、逆にないときって案外明確にわかるもの。小さなことにクヨクヨしない日があったと思えば、知らない人の悪態ひとつに反応して「もしかして…」なんて要らない不安に支配されるときもある。プレッシャーやストレスってかなり無責任な言葉。だけどたしかに生活のどこかに潜んでて、ある日ガバッと襲ってくるものだ。鉢合わせた日にだいたい良いことは起きない。

緊張感がある場面で、ここぞとばかりに踊りだす特徴もある。たとえばスポーツ。負けられない瞬間とか、大事な場面では特に元気そう。「一緒に踊ろうぜ!」なんて言って、足をガクガク震わせてくるんだから迷惑みがすごいのだ。
人間だから、勝負事でそういった状況になることは全く問題ではないし、誰だって平等。「おれ緊張しないんだよね」って口に出す人、たいてい誰よりもあがってる説だ。

でも忘れちゃいけないのは、プレッシャーやストレスと戦って結果を残そうとしている人を「ジャッジする」側にも、相当の負担があるということ。わかりやすい例だと、試験の採点やスポーツの審判。1点でも間違えば、1mmでも間違えば、非難の嵐に追いやられるのだからその実、当事者よりも冷や汗を背中にドバーっとかいているだろう。

下で支える人たちの血の滲むような努力に、基本は目がいかない。それはすごくもったいないこと。でも今日から少しだけでもそこに意識を向ければ、仮に自分が大舞台に立つことになった場合の心構えは見違えるように変化をするし、ひとつ上のステージでプレッシャーやストレスを克服するためのメンタルトレーニングを実現することができる。

もちろんその考えを走りとして、審判をはじめとしたサポートする側になりたいと目指す子どもたちが増えたら嬉しい。周りを尊敬して、準備に手を抜かず、最高のパフォーマンスを“お互いに”披露することができる場をたくさんつくれたら良い。そんなことを思う。

(実業之日本社 編集本部 鏡悠斗)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 選手じゃなくて、審判になりたい!【Book】