9日の香港市場は値上がり。主要52銘柄で構成されるハンセン指数が前日比156.72ポイント(0.53%)高の29476.19ポイントと3日続伸し、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が42.75ポイント(0.37%)高の11602.76ポイントと4日ぶりに反発した。売買代金は1499億3800万香港ドルに縮小している(8日は1858億200万香港ドル)。中国本土・香港間の相互取引が大型連休前に一時中断されことで、商いは今年最低を記録した。


米株の高値更新が相場を支える流れ。バイデン米大統領が掲げる1兆9000億米ドル規模の追加経済対策が早期に成立するとの見方が広がるなか、昨夜の米市場では主要3指数がそろって史上最高値を更新した。商品市況高も好材料。WTI原油先物は2.0%高と6日続伸し、一時、昨年1月以来の高値を付けた。昨夜のロンドン金属市場(LME)やこの日の上海商品取引所では、銅やニッケルなど主要商品の先物が軒並み上昇している。また、人民元建て上海銀行間取引金利(SHIBOR)の翌日物が再び低下したことも買い安心感を誘った。春節(旧正月)の大型連休(香港は11日に半日立ち会い、12〜15日が休場)を間近に控え、指数は安く推移する場面がみられたものの、中盤から持ち直している。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄では、ビールメーカーアジア大手の百威亜太HD(バドワイザーAPAC:1876/HK)が4.7%高、民間自動車メーカーの吉利汽車HD(175/HK)と光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382/HK)がそろって3.7%高、石油生産大手の中国海洋石油(CNOOC:883/HK)が3.4%高と上げが目立っている。吉利に関しては、今年1月の自動車販売が前年同月比で40%増加し、10カ月連続でプラス成長を達成したことも刺激材料だ。舜宇の販売動向も堅調。スマートフォン用レンズの出荷数は1月に前年同月比で36.1%増加した(プラス成長は2カ月連続)。


セクター別では、非鉄(レアアース)関連が高い。五鉱資源(1208/HK)が11.0%、中国稀土HD(チャイナ・レア・アース:769/HK)が7.8%、江西カン鋒リ業(ガンフェン・リチウム:1772/HK)が5.9%、江西銅業(358/HK)が4.1%ずつ上昇した。


農業関連セクターも急伸。肥料販売中国最大手の中化化肥HD(サイノフェルト:297/HK)が11.8%高、窒素系肥料メーカーの中海石油化学(チャイナ・ブルーケミカル:3983/HK)が9.9%高、農機メーカー中国大手の第一トラクター(ファースト・トラクター:38/HK)が2.8%高で取引を終えた。中海石油化学は2日、粒状尿素(CH4N2O) の出荷価格を引き上げると発表している。新型コロナウイルス流行による長期の景気低迷から脱し、化学肥料となる尿素も値上がりサイクルが始動した。


半導体セクターもしっかり。華虹半導体(1347/HK)が11.4%高、中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が5.3%高、上海復旦微電子集団(1385/HK)が3.6%高、ASMパシフィック・テクノロジー(522/HK)が3.2%高で引けた。華虹が昼に報告した決算では、10〜12月期が67%増益。同社株は後場に入り上げ幅を拡大した。


「巣ごもり消費」関連も物色される。オンラインゲームでは、心動(XD:2400/HK)が11.0%高、金山軟件(キングソフト:3888/HK)が8.6%高とそろって上場来高値を更新した。また、ショート動画投稿アプリ「快手」を展開する快手科技(クアイショウ・テクノロジー:1024/HK)が15.7%高、ライブ動画アプリの映客互娯(インカー:3700/HK)が1.7%高と値を上げている。先週5日に上場した快手については、株価指数を算出するハンセン・インデックシズ(HSI)が8日引け後、ハンセン科技指数、中国本土株指数(旧H株指数)、ハンセン総合指数などに新規採用すると発表した。


一方、本土市場は続伸。主要指標の上海総合指数は、前日比2.01%高の3603.49ポイントで取引を終了した。素材株が高い。消費関連株、ハイテク株、医薬品株、農業関連株、インフラ関連株、不動産株、防衛関連株、海運株、証券株、保険株なども買われた。

亜州リサーチ(株)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 9日の香港市場概況:ハンセン0.5%高で3日続伸、売買金額は今年最低