3. 中期経営計画「Creating Customer Value in the New Era」 (1) 基本方針と戦略 同社は、2024年5月に新たな中期経営計画「Creating Customer Value in the New Era」(2025年3月期~2027年3月期)を発表した。新たな時代が到来するなかでも、同社グループは「目利き力」と「業務ノウハウ」を詰め込んだソリューションで社会課題を解決し、よりよい未来を創造する会社であり続け、より多くの顧客価値を提供することをテーマに取り組んでいくことを基本方針に掲げた。「目利き力」とは解決すべき社会課題を発見すること、また最先端のテクノロジーを見出すこと、「業務ノウハウ」とは専門性を要する特定の業界・業務に対して、顧客よりも深い業務の知見を有することを意味している。特に、国内においては顧客側でデジタル人材が慢性的に不足する状況にあり、「業務ノウハウ」を提供する価値は大きい。こうした取り組みを推進することで顧客の利便性、業務効率性の向上や安全・安心に暮らせる社会の実現を目指す。
a) 情報基盤事業 情報基盤事業では、取扱製品・サービスを「目利き力」によって拡大するほか、代理店(パートナー)との協業により戦略アカウントの取引深耕を図る。また、セキュリティ運用・監視サービス「TPS」の拡販及び脅威情報分析サービスのワンストップ提供、中部・九州エリアでの営業強化により売上を拡大する。アジア地域での事業展開についてもFirmusの子会社化によって拡大していく計画だ。利益面では、運用・監視サービスの拡大に伴って顧客対応のサポート体制強化が必要となってくるが、生成AIを業務に活用することで効率化を進めていく考えだ。
b) アプリケーション・サービス事業 教育分野では、私立先進校に加えて公立校(地方自治体)への本格展開を推進する。サブスクリプション型となるため、利益ベースでの貢献は2028年3月期以降に持ち越しとなる見通しだが、教育分野におけるDXの潜在需要は大きく、今後3年間で収益化に向けての一定の基盤を構築していく考えだ。
c) 医療システム事業 医療システム事業では、旧PSPのオンプレミス製品とクラウド型PACS「NOBORI」を2026年4月に統合する予定であり、クラウドシフトによるサブスクリプション課金の積み上げを進めるほか、個人向け医療関連情報提供サービスであるPHRによるBtoCのビジネスモデル構築に取り組んでいく。PHRについては段階的に機能の拡充(マイナポータルとの連携機能強化など)を進めており、利用者数は約29万人まで増えている。今後は同サービスを利用できる医療機関を増やしていくための営業体制の強化を図る。