*11:03JST 飛島ホールディングス Research Memo(3):「未来を革新するStory」を実践し、「なくてはならない企業」へ ■飛島ホールディングス<256a>の今後の見通し

1. 中長期経営ビジョン「未来を革新するStory」の主旨と概要
同社は2024年10月1日付で、単独株式移転により飛島建設の完全親会社として設立された。これに合わせて、飛島建設が2023年11月13日付で公表した「中長期経営ビジョン」を具体化した中期経営計画を含む「未来を革新するStory」を策定し、発表した。

この「未来を革新するStory」は、今までの飛島建設(グループ)から脱却して新しい姿に挑戦すること、つまり「革新への挑戦」を実践していくための計画である。そのためのグループビジョンとしては、「創業の精神」を時代と社会の変化に合わせて再定義し、その「DNA」を生かしつつ、未来の産業振興・発展を支える「なくてはならない企業」であり続けることを目的としている。

この変革(トランスフォーメーション)への道筋を示すためのプランが「Innovate the future plan」。このプランは、未来に向けた革新を意識し、従来の枠組みや方法にとらわれず、新しい価値や可能性を創造していくこと(変革していくこと)の道筋(過程)を示している。

加えて、同社グループの企業価値向上に向けた具体的なアクションプラン及び定量的目標を示すものが「中期経営計画(〜2027)」となる。


目指すは「New Business Contractor=Construction+Innovation」

2. グループビジョン:目指す姿と役割
(1) 目指す姿:「New Business Contractor」と3つのバリュー
1) 「New Business Contractor」
本計画において同社は、目指す将来の姿として「自らが新たなビジネスを創造するとともに、多様な人々のビジネスの創造を支援し、その実現を約束するビジネスパートナーになること」、すなわち未来の産業振興・発展を支える「New Business Contractor」になることを掲げている。「New Business Contractor」とは、今までの建設事業(施工事業)に留まらずに事業を展開することで、社会にとって「なくてはならない企業」になることを意味する。現時点で見えている「何か」だけではなく、多様な社会ニーズに柔軟に対応できる新たなビジネスを創造し、多様な人々のビジネスの創造を支援する、それらを実現するビジネスパートナーのことである。

2) ブランドストーリーと3つのバリュー
同社がこのような「将来の姿」を目指すことになったのは、同社グループの創業精神である「利他利己※」に由来している。この創業精神にある「共存共栄の精神」を引き継ぎ、「努力と創意工夫」をInnovationに昇華させ、「未来のConstructionを作る」(詳細後述)との想いが同社のブランドには込められている。

※ 「己の利を計らんと欲せば己の利を後とし、これを犠牲としてまず相手の利を計れ。相手に提供した自分の犠牲は己の努力と創意工夫をもって補え。これが自他共に繁栄し、ひいて究極は必ず己の利となる結果をもたらす」という意味。

さらにこの「New Business Contractor」を目指す過程においては、以下の3つのバリューを追求・継続していく方針だ。

a) 「Construction Innovation」:未来のConstructionを「創造」
時代や価値観の変化に寄り添い、未来のConstructionの「創造」を探求する。

b) 「Alliance Innovation」:多様なパートナーと「共創」
強みを持つパートナーとの「共創」により、イノベーションを加速し、プラットフォーム企業として進化する。

c) 「Social Innovation」:人や社会と「共生」
理想、情熱、知恵、技術、努力、創意工夫を広く社会に提供し、より良い未来の実現に貢献するため、人と社会と「共生」する企業であり続ける。

(2) 役割:「未来のConstruction」を作る
さらに同社では、将来における自らの役割を「人々の生活基盤を守り、経済発展を支えるために不可欠な『未来のConstruction』をつくること」と定義している。未来のConstructionとは、現在見えている具体的な「何か」ではなく、常に新たな「考え方、やり方」を模索し、「トランスフォーメーション」(変化)していくスタンスを「未来のConstruction」と表現しており、言い換えれば「ミッション」である。

(3) ブランドストーリー
今回の計画発表及び持株会社への移行に合わせて、同社では新しいコーポレート・ロゴ(シンボルマーク)を制定した。

このシンボルマークは、多様な個性が共創のために1つに組み、イノベーションを生み出し続け、その活動や影響が社会に広がっていく「New Business Contractor」のイメージを「3つの輪」が重なりできる形で表現している。また、この「3つの輪」は既述の「New Business Contractor」を目指す過程での「3つのバリュー」も意味している。

「第1の輪」は、中心にある建設事業から、シナジーのある事業にリエゾン(連携)していくことを表し、「第2の輪」は、個性ある専門集団が神経ネットワークのように有機的につながっていくことを表し、「第3の輪」は、それによりもたらされる、人と社会とともに創造・共創・共生していくことを表している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 飛島ホールディングス Research Memo(3):「未来を革新するStory」を実践し、「なくてはならない企業」へ