*17:05JST ナック Research Memo(5):2025年3月期は増収増益を計画も、中期経営計画に対しては減収減益(2) ■ナック<9788>の今後の見通し

2. セグメント別の見通し
(1) クリクラ事業
売上高は16,100百万円(前期比5.6%増)、営業利益は1,720百万円(同0.8%増)を見込む。通期業績予想比で中間期の進捗率は売上高48.5%、営業利益50.6%と堅調に推移している。浄水型ウォーターサーバーの需要が拡大する中で引き続き同分野の新規顧客獲得に注力し、昨年から販売開始した小型の浄水型ウォーターサーバー「putio」の販促を強化することで収益基盤の拡大を図る。下期の販売促進費の投入規模については、顧客獲得の推移を見ながら判断するとしている。販促施策としては上期と同様、積極的なWeb広告の出稿や、ショッピングモールなどでのイベント営業を展開し営業活動を強化する。ウォーターサーバーと並行して副商材の販売も継続し、特に年末商戦に向けて拡販活動を活発化することで相乗効果による売上増を狙う。加盟店での顧客獲得についても直営部門と同様にイベント営業を進め、巻き返しを図る。加盟店向けには、同事業のシステムインフラ「CrePF(クリクラプラットフォーム)」の導入を進め、販売活動の効率化で収益性を確保する。次亜塩素酸水溶液「ZiACO」は新型コロナウイルス感染症の5類移行の影響で売上が減少傾向にあるが、冬場のインフルエンザ対策等向け除菌・ウイルス除去効果に対する需要が期待できるほか、消臭効果という商品特性をアピールすることでウェルビーイング需要を喚起し、売上増を図る。

(2) レンタル事業
売上高は17,800百万円(前期比1.9%増)、営業利益は1,810百万円(同13.3%増)を見込む。業績予想比で中間期の進捗率は売上高49.8%、営業利益41.0%と堅調に推移している。ダスキン事業については、資本業務提携契約に基づき出店拡大を進めてきたケアサービス部門とヘルスレント部門での投資回収を図る。これは中期経営計画でもその達成を目標として掲げており、通期で注力する。新販売管理システムの導入も推進し、業務効率化を進める。ウィズ事業においては、主要顧客である飲食店向けの営業強化を図る。同事業はコロナ禍影響を除けば毎期安定した売上を見込めることから、営業強化によりさらなる上積みを図る考えだ。インバウンド需要対応の側面からは、訪日外国人客が抱く日本のクレンリネス期待に応えるため、害虫駆除は飲食店に必要不可欠となり、これを追い風として注力する。アーネストにおいては、これまでに水際対策の支援事業関連で取引関係を構築したホテル等に対し、インバウンド需要対応としてベッドメイキング等を強化し、売上増加につなげる。キャンズにおいては、上期の実績に貢献したダスキン事業とのさらなるシナジーに期待がかかる。他事業と比較して売上規模は小さいが、協業実績から将来に向けたノウハウを蓄積し、受注・活動エリアの拡大を進めていく。

(3) 建築コンサルティング事業
売上高は9,000百万円(前期比59.0%増)、営業利益は1,350百万円(前期は28百万円の利益)を見込む。業績予想比で中間期の進捗率は売上高26.1%、かつ65百万円の営業損失計上と、現時点では苦戦中だ。コンサルティング部門では顧客である地場工務店を取り巻く経営環境が思わしくないなか、受注獲得に役立つ建築コンサル向け商品を拡充することで顧客を支援する。一例として、2024年9月に工務店のブランディングを行う(株)ONE STONESと業務提携契約を締結し、規格住宅、変容住宅、作品住宅の3つのプロダクトを提供する「THE Architect」の販売を開始した。工務店が利用することで、ユニークな発想と技術でカスタマイズできる規格住宅、新築以上の魅力で住人の美意識を共鳴させるリノベーション、住人との共創で地域のアイコンとなる唯一無二のフルオーダーメイド住宅など、デザイン性をサポートし、住宅需要喚起を図る。同社によれば、販売開始以降の反響は良く、出だしも好調とのことであり、売上高改善への期待は大きい。特に小規模工務店では、デザイン性の追求には困難なことが多く、設計を支援することで工務店からの注目度も高いようだ。そのほか、無料会員サービスである「D-mot」の拡充による導入窓口の拡大や、DX・省エネ化を推進する商品販売を引き続き進める。ナックハウスパートナーではコンサルティング部門をはじめとする社内他部門との連携により、省エネ関連商材の受注増加を目指すほか、新サービス等の共同開発を進める。住宅関連の業績は比較的下期偏重の傾向があり、加盟店との連携をさらに強化して販売機会を逃さぬ対応を進める。

(4) 住宅事業
売上高は10,900百万円(前期比15.4%増)、営業利益は320百万円(前期は27百万円の利益)を見込む。業績予想比で中間期の進捗率は売上高48.9%、営業損失196百万円の計上と、売上面は堅調だが損益面に課題が残る。住宅事業の業績は例年下期偏重の傾向にあり、かつ売上単価も高いことから、各部門で商機を確実に捉える対応を進めていく。ケイディアイにおいては、用地仕入について、引き続き従来の都内23区中心から東京郊外にまで対象を拡げ、不動産ソリューション強化と事業拡大を目指す。ジェイウッドではバリアフリー対策等で需要の高まる平屋や店舗・店舗併用住宅の受注強化に向けて営業活動を推進するほか、ナックハウスパートナーで扱う住宅「ACE HOME(エースホーム)」の販売に関し、FC契約する秀和住研と協業して受注の増加を図る。北海道で展開するKUNIMOKU HOUSE事業では、高性能住宅や省エネ住宅等の商品ラインナップを充実させることで顧客獲得を目指す。さらに2025年3月期から連結対象となった秀和住研の業績は業績予想に見込まれておらず、上積みに期待がかかる。秀和住研は元々ナックハウスパートナーが運営するフランチャイズ「ACE HOME」のトップディーラーであることから、同社内、特に営業エリアの同じジェイウッドとのシナジーが期待できる。

(5) 美容・健康事業
売上高は8,000百万円(前期比19.7%増)、営業利益は360百万円(同20.8%増)を見込む。業績予想比で中間期の進捗率は売上高44.5%、営業利益36.9%と50%をやや下回るが、下期に向けて重点施策を推進し計画達成を目指す。JIMOSにおいては、「MACCHIA LABEL」等の各ブランドの主要製品の強化やリニューアルを行うほか、新商品・新カテゴリの開発により新規顧客獲得を図る。ベルエアーでは、創立以来続けてきたサプリメント販売への原点回帰を掲げ、販路拡大の推進とともに商品リニューアルによる新規顧客獲得を推進する。アップセールでは、通販事業の取扱商品拡充と積極的な商品開発・仕入により収益性向上を目指す。取扱商品拡充の一環として連結対象となったTOMOEワインアンドスピリッツと協働してワイン直販を行うほか、医薬品販売の拡大に向けて広告投資を行う。これにより自社EC内でのグループ顧客の囲い込みを進める。トレミーでは、医薬部外品等の積極的なODM提案により市場競争力を高め、利益率の向上と、各事業との垂直連携強化によるグループシナジーの最大化を目指す。TOMOEワインアンドスピリッツでは前述のアップセールとの協働のほか、ウィズ事業とも連携して飲食店向けワインの販売を強化する。ウィズ事業の営業部門が営業活動を行い、新たな販売ルートを開拓する。また2024年6月には施策の1つとしてサブスク方式でのワイン販売を行う「ワインのサブスクby Tomoeワイン」の提供を開始しており、クリクラ、レンタル、美容・健康の各事業で抱える定期顧客向けに販路を拡大する具体的施策を進めている。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 ナック Research Memo(5):2025年3月期は増収増益を計画も、中期経営計画に対しては減収減益(2)