*15:09JST シード Research Memo(9):新中期経営計画を策定、2027年3月期に売上高41,000百万円を目指す(2) ■シード<7743>の中期経営計画

(3) 市場のニーズに合わせたモノづくり
消費者や市場の要求に応じた製品開発を継続的に行っており、その中でも品質管理(Quality Control)の強化を重要視している。各国及び地域ごとの規制要求事項を深く理解し、それを自社の品質管理システム(Quality Management System)に反映させることにより、グローバル市場での信頼性を確保する。それに加えて、購買先や製造委託先に対する品質管理体制の強化にも取り組んでおり、パートナー企業との連携を通じて全体的な品質向上を目指している。また、次世代商品の開発においても積極的な姿勢を示している。特に次世代シリコーンハイドロゲルレンズの開発及び発売が、今後の主力商品として期待されており、これが医療機器メーカーとしての本源的価値を創造する役割を担っている。既発製品との差別化を図ることで、消費者に対して独自の価値を訴求し、市場での競争優位性を確保する。同時に、子会社を含む商品戦略に基づき、薬事登録に対する積極的な取り組みを推進し、迅速な承認取得を目指している。さらに、製造委託先との連携も強化しており、特に海外展開に向けて製造委託先の多様化が促進されている。これに伴い、海外拠点の調査や新しい委託先の選定が開始され、グローバルな供給体制の構築が進行している。また、子会社製品のクロスセルや外部商品調達の強化も、市場での競争力をさらに高める要因となっている。

(4) 内部基盤の強化・人材確保と育成
内部基盤の強化により、業務効率化と生産性向上を図る。特に本社新社屋への移転に伴い、業務の刷新を行うことで、更なる効率化を実現することを目指している。基幹システムのバージョンアップにより、業務のデジタル化が進み、ITインフラの充実を図ることで、社内外での業務プロセスの最適化が進展する。また、情報セキュリティ対策の強化にも注力しており、万が一の事態に備えた対応力を強化している。さらに、国内外の在庫を一元管理する体制を整備することで、在庫運用の効率性を高め、供給チェーン全体のパフォーマンスを向上させる。AI及びIT技術の活用も進んでおり、これらのテクノロジーを業務の様々な分野に導入することで、更なる業務効率化が期待される。同社は、AIとITを駆使した業務プロセスの自動化により、人的リソースを最適化し、コスト削減とパフォーマンスの向上を図っている。

人材の確保においては、採用戦略の多様化が進められている。特にブランディングを通じて採用の母集団を拡大し、優秀な人材を確保する取り組みが強化されている。新卒採用では、高校生や専門学校生との関係を深めることで、早期からの採用活動を展開し、理系・文系を問わず、幅広い分野から人材を確保する。また、博士号取得者や外国人、海外大学卒業生、中途採用の強化により、国際的な視野を持つ多様な人材を獲得し、企業の競争力を高めている。さらに、人材の育成においても、社員の自律的な学習と成長を支援する教育環境の構築が進められている。ポストチャレンジ制度や海外研修制度などを通じて、社員に挑戦の機会を与え、個々の成長を促進する風土を育む。また、リスキリングの導入により、社員が新たなスキルを獲得する機会を提供し、再活性化を図るとともに、グローバルな人材ネットワークの強化も目指している。これらの取り組みを通じて、内部基盤の強化と人材の育成を一層推進し、競争力のある組織を構築することで、持続的な成長を実現していく。市場の変化に対応しながらも、確固たる基盤を持つ企業としての地位を確立することが期待される。

(5) SDGsの推進
ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進を重要な経営方針と位置付け、外国人や女性の執行役員・取締役などへの登用を進めることで、社員の多様性を生かした企業経営を実施している。また、社内横断型のプロジェクトへの公募制度を拡大し、より多くの社員が活躍できる環境を整備している。次に、カーボンニュートラルへの道筋を構築するために、温室効果ガスの排出量削減を目指し、2050年までにカーボンニュートラルを実現する方針を定めている。具体的には、環境に配慮した新たな施設の増設を行い、本社新社屋や2号棟別館、4号棟においてもCO2排出量削減を前提とした製造設備の導入・更新を推進している。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)及びTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)への対応を強化し、サーキュラーエコノミーシステムの推進としてBLUE SEED PROJECTを展開している。

人権尊重への取り組みも強化されており、同社グループ内にとどまらず、調達先や業務委託先などのサプライチェーンにおける人権問題への適切な取り組みを推進している。さらに、地域との共生に向けた取り組みとして、鴻巣市と「包括連携に関する協定書」を締結し、教育機関への出前授業を実施することで地域貢献を図っている。

(6) 安定した株主還元
プライム市場の上場維持基準の安定した達成を掲げており、、株主への適切な情報発信を行っている。さらに、適切な配当施策を実施し、安定した配当の実現を図ることで投資家に報いる方針を採用している。具体的には、配当性向30〜40%を目標とした配当の継続を目指している。また、株主優待制度の適正化も行い、商品と株式を通じて同社への関心を深め、長期的な支援が得られるような優待制度を適宜改定している。



■株主還元策

2025年3月期は1株当たり15.0円の配当を予定。配当性向目標を30%~40%に定め、安定的かつ持続可能な配当を実施する方針

同社では、株主への利益還元を重要視しており、安定的かつ持続可能な配当を実施する方針である。配当性向は30%〜40%を目標とし、今後の成長戦略と株主への利益還元のバランスを考慮しながら、配当を継続的に実施していくことを目指している。2025年3月期は1株当たり15.0円(配当性向32.4%)と予想しており、企業の利益成長と株主への還元の両立により、株主に対して安定した利益をもたらすことが期待される。また、株主優待制度についても見直しを行っており、毎年3月31日を基準日として、前年3月31日、前年9月30日及び3月31日現在の株主名簿に1単元(100株)以上を同一株主番号で3回以上連続して記載または記録がある株主が優待の対象となる。ただし、2025年3月末日の株主名簿に記載の株主に限り、1年以上の継続保有を条件とせずに株主優待を適用するとしている。以降の株主優待に関しては1年以上の継続保有が条件となるため、長期的な株式保有を奨励する意図が見受けられる。なお、今回の優待制度変更により、10,000株以上の保有者を対象とした優待制度が追加となった。同社は、中期経営計画において成長戦略を明確に打ち出しており、配当施策はもとより中長期的な株価向上に対する蓋然性も高いと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 シード Research Memo(9):新中期経営計画を策定、2027年3月期に売上高41,000百万円を目指す(2)