*15:58JST 紀文食品 Research Memo(8):中期経営計画策定時の事業環境と異なるマクロ的な状況の変化による影響を受ける ■中期経営計画

1. 現中期経営計画の進捗
紀文食品<2933>は上場直後の2021年5月に、収益性向上と財務体質改善による「持続的成長サイクルの確立」を基本戦略とする3ヶ年の中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)を策定した。しかし、新型コロナウイルス感染症の社会活動への影響の長期化や地政学リスクに伴うコスト上昇など、中期経営計画策定時に想定した事業環境と異なるマクロ的な状況変化が起きている。中期経営計画最終年度の2024年3月期は、価格改定やプロモーション戦略、調達・生産・販売の各段階での効率化、コストの効率的な使用によって業績が大きく回復する見込みとなったが、当初計画した中期経営計画の目標には届かない項目が出る可能性が高まっている。次期中期経営計画は、持続的成長が可能な強固な企業体質への進化を目指すとしているが、マクロ要素以外の環境認識や成長戦略は依然合理的と考えられることから、次期中期経営計画でも「持続的成長サイクルの確立」という基本戦略は踏襲される可能性が高いと考える。


「強み」の強化、「機会」の獲得、「弱み」と「脅威」の克服を重要課題とする
2. 現中期経営計画の環境認識
同社は現中期経営計画で、ブランド力、商品企画・開発力、物流サービスなどの「強み」、健康志向や和食文化への関心の高まりなどの「機会」、財務体質や利益率などの「弱み」、漁獲の減少などの「脅威」を提起し、「強み」の強化と「機会」の獲得、「弱み」と「脅威」の克服を重要課題とした。「強み」の強化と「機会」の獲得の具体的施策としては、海外市場への積極展開、国内外の健康ニーズの取り込み、ロングライフ商品の開発拡充、簡便・即食ニーズへの対応強化、ものづくりDXの更なる進化を推進してきた。一方、「弱み」と「脅威」の克服としては、増資による資本増強、設備刷新による生産性の向上、持続可能原料の調達・研究、フードロス対応の推進、ESG・SDGsへの取り組み強化を掲げていた。これらを踏まえて、弊社で次期中期経営計画向けに新たな要素を挙げるとすると、「強み」は危機対応力(現中期経営計画は価格改定)、「脅威」はパンデミックや地政学リスクなどマクロ的状況変化になると思われ、そうした要素への対応力を身につける必要があると思われる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

<SO>
情報提供元: FISCO
記事名:「 紀文食品 Research Memo(8):中期経営計画策定時の事業環境と異なるマクロ的な状況の変化による影響を受ける