*13:01JST クオールHD Research Memo(1):2026年3月期に売上高3,000億円、営業利益250億円を目指す ■要約

クオールホールディングス<3034>は大手調剤薬局チェーンの1社で、調剤薬局店舗数で第2位、売上高で第3位(上場企業ベース)の位置にある。調剤以外の分野では、CSO※1事業や薬剤師などの医療系人材紹介派遣事業、医薬品製造販売事業などを展開している。2023年10月にオーソライズジェネリック製品(以下、AG製品※2)を主に展開する第一三共エスファ(株)の株式を30%取得して持分法適用関連会社とした。2024年4月には追加で21%の株式を取得して連結対象子会社とし、将来的には100%子会社化にする予定となっている。株式取得資金の総額は250億円となり、金融機関からの借入れと手元資金で充当していく予定となっている。

※1 CSO(Contract Sales Organization):医薬品販売業務受託機関)の略で、CMR(契約MR(Medical Representative、医薬情報担当者))の派遣業務となる。
※2 AG製品:新薬メーカーから許諾を得て、原薬、添加物及び製法等が新薬と同一のジェネリック製品。


1. 2024年3月期第2四半期累計業績は会社計画を達成
2024年3月期第2四半期累計(2023年4月-9月)の連結業績は、売上高で前年同期比7.4%増の88,540百万円、営業利益で同11.5%減の3,559百万円と概ね会社計画通りに着地した。売上高は、主力の保険薬局事業が処方箋応需枚数の増加により処方箋単価下落の影響を吸収し同7.2%増となったほか、医療関連事業もCSO事業や医療系人材紹介派遣事業の好調により同9.7%増となった。利益面では、医療関連事業が同1.9%増益となった一方で、保険医薬事業が同6.8%減益となった。減益要因は医薬品卸との価格交渉が厳しくマージンがやや悪化したことに加えて、薬剤師の募集費、システム関連の支払手数料が増加したことが主因だ。ただ、会社計画通りの進捗となっている。2023年9月末の店舗数は前期末比13店舗増の905店舗となっている。

2. 2024年3月期業績は調剤薬局事業、医療関連事業とも伸長し、増収増益見通し
2024年3月期の連結業績は売上高で前期比5.9%増の180,000百万円、営業利益で同5.3%増の10,000百万円と期初計画を据え置いた。保険薬局事業は処方箋単価の下落を処方箋応需枚数の増加で吸収し増収増益を見込む。下期は地域支援体制加算取得店舗を増やすことで技術料単価の底上げを図り、薬剤師の最適配置による募集費の低減にも取り組む。一方、医療関連事業はCSO事業や医療系人材紹介派遣事業が下期も好調を持続することで増収増益となる見通しだ。なお、第一三共エスファが下期から持分法適用関連会社となり、2024年3月期の業績予想には持分法による投資利益で700百万円の計上を見込んでいる。

3. 第一三共エスファのグループ化で2025年3月期より事業規模が一段と拡大
同社は中期業績目標として、2026年3月期に売上高3,000億円、営業利益250億円を目指している。このうち、保険薬局事業はM&Aも含めた積極出店の継続や在宅調剤の強化、生産性向上による収益性の改善により、売上高で年率5%以上の成長と着実な利益成長を目指す。医療関連事業はM&Aも含めた規模の拡大を図ることで2024年3月期比1.2倍の増収とし、利益率も12%以上を目指す。また、2025年3月期から連結対象子会社となる第一三共エスファの業績は、2024年3月期見込みの売上高750億円、営業利益110億円から2026年3月期は売上高1,000億円、営業利益140億円を目標として掲げた。販売機能の拡大や新製品の開発などをグループシナジーによって効率的に進め、年率15%以上の増収と利益率15%以上を目指す。今回の第一三共エスファのグループ化によって同社の事業基盤は大幅に強化されることになり、医薬品の研究開発から製造販売、医療系人材サービス、調剤薬局までをカバーする総合ヘルスケア企業として一段の飛躍が期待される。

■Key Points
・2024年3月期第2四半期累計業績は増収減益となるも概ね会社計画通りに進捗
・2024年3月期は期初計画を据え置き、過去最高業績を更新する見通し
・第一三共エスファのグループ化により2026年3月期に売上高3,000億円、営業利益250億円を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 クオールHD Research Memo(1):2026年3月期に売上高3,000億円、営業利益250億円を目指す