*12:41JST RIZAP-G Research Memo(1):2024年3月期第2四半期は増収減益。会員数100万人超を達成 ■要約

RIZAPグループ<2928>は“「人は変われる。」を証明する”という唯一無二の経営理念の下、健康づくり事業を中心に、ヘルスケア・美容、ライフスタイル、インベストメントの3領域で多様な事業を展開する総合企業である。「自己投資産業でグローバルNo.1」をビジョンに掲げ、持株会社体制の下、M&Aを積極的に活用しながら飛躍的に成長を遂げ、上場子会社5社を含むグループ企業 67社を擁するまでに成長した。同社を率いるのは、創業者で現 代表取締役社長の瀬戸健(せとたけし)氏である。株式上場の契機となった商品「豆乳クッキーダイエット」、2011年の自身のダイエット成功体験から着想したボディメイクの「RIZAP」「どろあわわ」「美顔器」などヒット商品を多数有する美容通販事業をはじめ、「RIZAP GOLF」など多くの新規事業を成功に導き、その手腕は高く評価されている。現在は、2022年9月に発表した中期経営計画に基づき、営業利益30,000百万円(2026年3月期)を目指し、新規事業「chocoZAP」事業への先行投資などを推進中である。2006年札幌証券取引所アンビシャスに株式を上場し、将来的には東京証券取引所プライム市場への上場を目指している。

1. 2024年3月期第2四半期の業績動向
2024年3月期第2四半期の売上収益は81,012百万円(前年同期比5.3%増)、営業損失5,791百万円(前年同期は230百万円の利益)、税引前四半期損失7,302百万円(同714百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する四半期損失7,596百万円(同1,776百万円の損失)であり、中期経営計画どおりに積極投資を行っている。売上収益に関しては、本格展開をしているコンビニジム「chocoZAP」の拡大に注力し、RIZAP事業(chocoZAP事業含む)は大幅な増収(前年同期比8,102百万円増)となった。2024年3月期上期までにchocoZAPを550店舗出店し、2023年11月14日時点の店舗数は1,160店となった。また、広告宣伝を積極的に行ったことで認知度の向上とともに入会者もさらに増加し、2023年11月時点の会員数は100万人超に達した。既存事業では、(株)アンティローザをはじめとする増収分(前年同期比1,744百万円増)があった一方で、REXT(株)等の小売店の閉店に伴う減収やMRKホールディングス<9980>の新規顧客獲得に集中したことによる一時的な減収など、既存事業は減収分(同2,937百万円減)が上回った。また、子会社BRUNO<3140>傘下だったシカタ事業を前期末に売却した影響(同2,704百万円減)もあった。営業利益に関しては、chocoZAPへの先行投資によりRIZAP事業(chocoZAP事業含む)が減益(同3,650百万円減)となった影響が大きい。さらに既存事業では、新規顧客獲得への先行投資、在庫処理・退店費用の前倒計上、原材料高・仕入価格の上昇の影響等も全社の減益に影響した。

2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の売上収益は172,000百万円(前期比7.1%増)、営業損失4,500百万円(前期は4,505百万円の損失)、税引前当期損失6,200百万円(同6,641百万円の損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失9,000百万円(同12,733百万円の損失)と、増収とともに収益の改善を予想する。期中にchocoZAP事業への投資資金の確保等を目的に子会社創建ホームズ(株)を売却した影響で、売上高が下方修正されたが、各利益はchocoZAP事業等が順調に推移していることから予想を据え置いた。売上収益に関しては、chocoZAP事業における新規出店及び会員基盤増加により、大幅な増収を見込む。中期経営計画では、2024年3月期のRIZAP関連事業(ボディメイク、chocoZAP、RIZAP GOLF等)の売上収益は前期比で倍増の38,000百万円、営業損失で2,200百万円(前期は3,600百万円の損失)と損益の改善を見込んでいる。同社では、2024年3月期も引き続き既存事業の収益成長による持続的成長に向けた経営基盤の構築を目指す。具体的には、グループ横断的なコスト最適化や業務合理化による固定費の削減、不採算店舗の高収益業態への転換や統廃合などを進める。さらに、資産流動化施策の推進、周辺事業の売却、及びグループ全体の財務管理体制の強化等により、事業活動に必要な資金を確保するための施策を講じる計画である。chocoZAP事業の展開が計画を前倒しで推移しており、売上収益予想を上回る可能性もあると弊社では考えている。利益面では営業損失を見込むものの、期末に向けて黒字化する店舗の割合が増えるため、収益は改善に向かうと想定している。

3. 成長戦略・トピック
chocoZAP事業は、“トレーニングジム”や“ダイエット支援サービス”を行う“店舗事業”と捉えられがちだが、初期の構想から“ヘルステックを活用した健康プラットフォーム”として事業計画が立案されており、“ヘルステック企業”への戦略転換の意味合いが大きい。本格展開から1年3ヶ月という短い期間ではあるが、ヘルステック企業として頭角を現したことが様々な観点から確認できる。一例を挙げると、chocoZAP会員にはスターターキットとしてスマートウォッチとヘルスメーターが無料配布され、chocoZAP専用アプリと連携した様々なヘルスデータを自分で管理することができる。これまでの配布数(2023年9月時点で83万台)をそれぞれの業界トップ企業と比較すると、スマートウォッチではAppleに次いで業界2位、ヘルスメーターでは、(株)タニタ、オムロンヘルスケア(株)に次いで業界3位に位置付けられる。これらの端末からの入力情報は専用アプリを経由してライフログデータとして蓄積され、それを一元管理・活用できる点も潜在的な強みと言える。chocoZAP専用アプリの進化も見逃せない。店舗の入会、入退店、混雑確認、運動メニューのインストラクション、予約管理など会員との接点として重要な役割を果たすアプリケーションだが、来店時以外の健康支援メニューが順次追加されており、その進化は注目に値する。2023年9月に本格リリースされた食事管理機能では、食事の写真1枚を撮影し、ワンタッチで簡単に食事記録を残すことができ、さらにAIが自動でカロリーや栄養素を計算し、食事や運動に関するフィードバックを受けることができる。今後リリース予定の睡眠記録機能は、計測データと科学的統計による寄り添い型「快眠サポート」を提供する。毎日の睡眠時間、総合スコア、睡眠リズムなどが自動で評価され、おすすめの活動時間や食事や運動などのフィードバックが受けられる。いずれも、日常生活に密着したサービスであり、健康的な生活の質をデータとして定量化し、科学的に解決していくアプローチである。

■Key Points
・トレーニングジムをDXした世界発のコンビニジム「chocoZAP」が快進撃。2024年3月期末には黒字店比率が8割に達する予想
・2024年3月期第2四半期は、chocoZAP事業への戦略投資を計画どおり実施し増収減益。chocoZAP店舗数1,100店超、会員数100万人超を達成(2023年11月時点)
・自己資本比率は21.7%と、積極投資を行うなかで一定水準を維持。2024年3月期以降はchocoZAP事業の黒字化に伴い改善の見込み
・chocoZAP事業はヘルステックのプラットフォームとしての潜在価値とその進化に注目。進行中の中期経営計画で2026年3月期の営業利益30,000百万円を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 RIZAP-G Research Memo(1):2024年3月期第2四半期は増収減益。会員数100万人超を達成