(2) 事業別の見通し a) 学習塾事業 学習塾事業の売上成長率は年率7~8%程度を計画している。校舎数は90校を超えた段階だが、同戦略を推進することで150~180校程度まで出校余地があると見ており、新規出校による売上拡大余地は大きい。既存校についても生徒数の増加により手狭となった教室は、順次増床または移転リニューアルを進める方針だ。「インターTOMAS」や「メディックTOMAS」については「TOMAS」が進出しているエリアで、需要が見込めると判断すれば開校する。また「Spec. TOMAS」や新たに立ち上げた「駿台TOMAS大学受験部」については、既存校の収益化に目途がついた段階で新規校舎の開校を検討していく。
b) 家庭教師派遣教育事業 家庭教師派遣教育事業の売上成長率は年率7~8%程度を計画している。家庭教師派遣の「名門会」については、首都圏のほか大阪、名古屋などの大都市並びに地方の主要都市に36校を展開してきたが、今後は既存校での生徒獲得と収益力強化に重点を置きながら着実な成長を目指す。また、医学部志望の生徒をターゲットとした「メディック名門会」については、開校した2校が順調に滑り出していることもあり、今後、10校以上の新規開校を目指す。一方、「TOMEIKAI」については地方の少子化進行を背景に生徒獲得に苦戦していることや、オペレーション効率が低いこともあって、不採算となっている校舎については今後も段階的に閉校していく意向で、「TOMEIKAI」の減少分を「名門会」「メディック名門会」の拡大によりカバーする格好となる。2023年2月期に5%台まで低下した営業利益率も、コロナ禍前の10%台の水準まで回復することが期待される。
c) 幼児教育事業 幼児教育事業については提携戦略を推進することで、年率5%の売上成長を目指す。「伸芽’Sクラブ学童」についてはコナミスポーツとの業務提携によって、コナミスポーツが運営する施設内に「コナミスポーツ 伸芽’Sアカデミー」を約20校まで展開する予定としている。子どもの成長を体力面だけでなく学力面でも育てていきたいと考える保護者は多く、同社にとっても生徒獲得コストが殆どかからないため提携メリットは大きい。中長期的にはヒューリック、コナミスポーツとの共同プロジェクトとなる教育特化型ビル「こどもでぱーと」の展開による「伸芽会」「伸芽‘Sクラブ」の拠点数拡大も見込まれる。
また、ヒューリックが2026年に渋谷に竣工予定の複合ビル「MITAKE Link Park(渋谷)」※にも「こどもでぱーと」を展開することが決まっており、「伸芽’Sクラブ託児・学童」「伸芽会」を開校する計画となっている(伸芽会、TOMASは既存校が渋谷にあるため拡大リニューアルとなる見通し)。「こどもでぱーと」としては2029年までに首都圏の主要駅をターゲットに20棟まで広げる構想を描いており、2026年以降も年間4~5棟のペースで開業していくことになる。同社にとっては、駅前好立地の物件を独力で探す必要がなく複数の教育サービスを同時に開校できるほか、顧客が複数のサービスを利用する可能性が高まるといったメリットが大きく、2026年2月期以降の収益拡大に貢献する取り組みとして注目される。