*12:01JST キューブ Research Memo(1):2023年12月期第2四半期は営業減益だが足元の末端販売は底打ちの気配 ■要約

キューブ<7112>は、富裕層に特化したラグジュアリーゴルフウェアの販売を主力事業としている。自社でデザイン・企画した商品を外部へ製造委託するファブレス型の事業モデルで、主力ブランド「MARK&LONA(マークアンドロナ)」は日本及び韓国では深く浸透しており、ラグジュアリーゴルフウェア市場のトップランナーと言える。販売チャネルは、国内リテール(テナントインの実店舗での販売)、国内及び海外向けECサイト、韓国・海外(イタリア及び米国等)・国内向けの卸がある。今後の成長戦略として、「グローバル展開」「MARK&LONAブランドの深化」「コラボレーションによるブランド開発」を掲げている。

1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
2023年12月期第2四半期の業績は、売上高2,531百万円(前年同期比12.7%減)、営業利益199百万円(同67.5%減)、経常利益203百万円(同67.0%減)、四半期純利益132百万円(同67.3%減)となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で前年同期に大きく増加した韓国卸がその反動で大幅減となったことに加え、国内リテール及び国内卸も計画をやや下回ったことから売上高は2桁の減収となった。韓国卸の比率が低下したことで、売上総利益率は54.9%(前年同期51.7%)となったが、業容拡大による従業員増加や青山の大型店開店に伴う経費増などから販管費は同34.2%増となり、結果として営業利益は前年同期比で大幅減となった。

2. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の業績は、売上高5,060百万円(前期比9.0%減)、営業利益440百万円(同51.4%減)、経常利益444百万円(同50.5%減)、当期純利益299百万円(同50.9%減)を見込んでいる。上半期の実績を受けて期初予想(売上高7.1%増、営業利益5.5%増)を下方修正した。販売チャネル別では国内リテール、国内EC、海外ECは堅調に推移する予想であるが、その他のチャネルは減収を見込んでいる。特に韓国卸は前期の反動から大幅な減収を見込んでいるが、ある程度は期初から想定されたことであり、特段に驚く予想ではない。むしろ現地での末端の販売は底打ちの気配が出ており、在庫整理が進めば回復が期待出来そうだ。通期の経営方針としては、「ブランディング」「グローバル戦略」「コラボレーション」の強化を掲げており、当初計画から変更はない。

3. 中期ビジョン
同社は、中期ビジョン(2023年12月期~2025年12月期)を策定し、成長戦略として「グローバル展開」「MARK&LONAブランドの深化」「コラボレーションによるブランド開発」を掲げている。「グローバル展開」ではデジタルツールを用いたWeb展示会やOMO※ストアを通じてグローバル展開の加速を、「MARK&LONAブランドの深化」では店舗開発、カテゴリー強化・新規ジャンルの開拓を、「コラボレーションによるブランド開発」ではブランド・プロダクトコラボレーション、環境に配慮した新規商品の開発を推進する計画だが、この基本方針に変更はない。また2025年12月期の数値目標として、3ヶ年の年平均成長率(CAGR:Compound Average Growth Rate)で売上高15%以上、営業利益25%以上、収益性の指標で営業利益率20%以上、ROE15%以上を掲げており、この目標も変更はない。ただし同社は、「達成される時期については、後ズレする可能性はある」と述べている。達成時期にズレはありそうだが、会社が目指す方向及び体質には変わりはないようだ。

※On-line Merges with Off-lineの略で、実店舗とオンラインストアが融合した店舗のこと。


■Key Points
・富裕層向けラグジュアリーゴルフウェアに特化したアパレルメーカー
・2023年12月期は前期比51.4%の営業減益予想だが、末端の販売は底打ち感
・中期目標として、2025年12月期までに年平均成長率で売上高15%以上、営業利益25%以上を目指すが、時期は若干の後ずれも

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 キューブ Research Memo(1):2023年12月期第2四半期は営業減益だが足元の末端販売は底打ちの気配