*12:21JST ADワークスグループ Research Memo(1):2023年12月期は過去最高業績更新へ ■要約

ADワークスグループ<2982>は、事業法人や個人富裕層向けに投資用オフィス・一棟賃貸マンションなどの不動産物件をバリューアップ後に販売する収益不動産販売事業と、保有不動産売却までの期間に得られる賃貸収入や販売後のプロパティ・マネジメント(以下、PM)収入などで構成されるストック型フィービジネスを両輪としている。2020年4月に持株会社体制に移行し、子会社となる(株)エー・ディー・ワークスと入れ替わる形で東証第1部に上場、2022年4月の東証市場区分見直しに伴い、プライム市場へ移行した。

1. 2023年12月期第2四半期累計業績の概要
2023年12月期第2四半期累計(2023年1月〜6月)の連結業績は、売上高で前年同期比33.4%増の19,145百万円、経常利益で同93.7%増の1,219百万円と大幅な増収増益となった。国内で不動産物件の仕入・販売が順調に進んだことで、主力の収益不動産販売事業が好調に推移したほか、ストック型フィービジネスも収益不動産残高の積み上がりに伴う賃貸収入の増加により好調に推移した。ここ数年はオフィスビルなどの仕入れも強化してきたことで、1棟当たりの販売単価が上昇し営業効率も向上した。2023年12月期第2四半期末の収益不動産残高は前年同期比33.5%増の45,052百万円と過去最高を更新しており、今後も収益不動産残高の積み上げを進めながら収益を拡大する方針だ。

2. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績は、売上高で前期比43.6%増の40,000百万円、経常利益で同96.1%増の1,870百万円と大幅な増収増益となる見通し。第2四半期までの進捗率は、経常利益で65.2%、親会社株主に帰属する当期純利益で72.1%となっており、計画達成は射程に入っている。今後は業績状況も踏まえながら、KPIの1つである収益不動産残高の目標500億円の達成に向け、仕入れを強化する考えだ。仕入物件については金利の上昇による不動産価格の下落リスクも踏まえながら、人気の高い都心部等の物件の仕入れを進める。仕入れのための資金については、手持ち物件の売却で得られる収入に加えて、金融機関からの借入金や地方銀行向けに発行するSDGs私募債※、クラウドファンディングなど多様な方法により調達する方針だ。

※地域社会の課題解決に貢献することを目標とした社債で、発行手数料の一部(発行金額の0.2%相当額)で物品を購入し、同社が選定した地域の学校や地方公共団体等に対して、引受銀行を通じて寄贈を行う仕組みとなっている。中期経営計画の基本方針である「SDGs経営の推進」の取り組み施策の1つ。


3. 中期経営計画の進捗状況
2021年5月に発表した第1次中期経営計画(2021年12月期~2023年12月期)では、1) 資本効率を高め、超過利潤(WACCを上回るROIC)を生み持続的に向上させる経営を目指す、2) 外部資源を積極活用し、創造性と先進性に富んだ組織力を育む、3) 顧客対象を拡張し商品・サービスを広く提供する、の3点を基本方針とし、並行して“脱”不動産事業(不動産領域以外の新規事業)の育成にも取り組んできた。2023年12月期の経営数値目標(税金等調整前当期純利益20億円、ROIC3.7%)については達成できる見通しで、現在は第2次中期経営計画の策定に着手しているもようだ。同時に10年後の会社のあるべき姿を描き、その実現に向けた施策の企画立案を行うためのプロジェクト「北極星PJ~10年後を描く~」を推進するための組織として、2023年8月に若手・中堅を中心に北極星PJ推進室を発足した。第2次中期経営計画は同プロジェクトの内容も反映した計画となるようで、その内容が注目される。なお、株主還元策として、配当による還元を強化する方針を掲げており、2023年12月期の1株当たり配当金は前期比3.5円増配の8.0円を予定している。

■Key Points
・2023年12月期第2四半期累計業績は仕入・販売が順調に進み大幅な増収増益に
・2023年12月期業績は過去最高を更新する見通し、収益不動産残高の更なる積み上げに取り組む
・2024年12月期から始まる第2次中期経営計画に向け、長期ビジョンの策定に着手

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 ADワークスグループ Research Memo(1):2023年12月期は過去最高業績更新へ