*12:21JST リソー教育 Research Memo(1):2024年2月期は収益力の強化に重点を置き2ケタ増益を目指す ■要約

リソー教育<4714>は“完全個別指導”と“進学指導”とを組み合わせた独自の高付加価値型ビジネスモデルを構築し、事業領域を拡大している教育サービス企業である。幼稚園・小学校受験指導の(株)伸芽会や家庭教師派遣の(株)名門会、学校内個別指導の(株)スクールTOMAS、ツアー体験企画や体操教室などを運営する(株)プラスワン教育などを子会社に持ち、幼児から社会人まで多様な教育サービスを提供している。

1. 2023年2月期の業績概要
2023年2月期の連結業績は、売上高で前期比4.9%増の31,488百万円、営業利益で同20.8%減の2,401百万円と増収減益となった。売上高は学習塾事業や学校内個別指導事業、人格情操合宿教育事業の増加により過去最高を連続更新した。利益面では優秀な人材確保のための人件費や採用広告費の増加に加えて、光熱費の増加が減益要因となった。事業セグメント別では、幼児教育事業の営業利益が同40.1%減となり減益要因の7割強を占めた。好採算だった「伸芽会」で生徒数が2ケタ減と低迷したことが主因だ。なお、期末のグループ在籍生徒数は前期末比1.1%減の27,127人となった。また、「TOMAS」「名門会」では小学生の生徒数は好調に推移したものの、AO・推薦入試の増加を背景に高校生の生徒数が減少した。

2. 2024年2月期の業績見通し
2024年2月期の連結業績は、売上高で前期比8.0%増の34,000百万円、営業利益で同24.9%増の3,000百万円と2ケタ増益に転じる見通し。人件費の増加分を吸収すべく「TOMAS」や「名門会」「スクールTOMAS」で5~7%の値上げを実施したほか、生徒募集活動の強化によりグループ生徒数も若干増を見込んでいる。利益面では、値上げ効果に加えて名門会や伸芽会で不採算校の統廃合を実施すること、広告宣伝費を1億円強削減するなど経費の見直しを進めることで利益率の改善を図る。新規校舎展開については、建築コストの上昇もあって例年よりも抑え気味にし、既存校の収益力強化を優先して取り組む方針だ。

3. 中期経営計画
同社は、2023年4月に3ヶ年の中期経営計画を発表した。最終年度となる2026年2月期の業績目標として売上高39,500百万円、営業利益4,000百万円を掲げた。3年間の年平均成長率は売上高で7.8%、営業利益で18.5%となる。この3年間は値上げ効果に加えて「名門会」「伸芽会」での不採算校の統廃合実施、費用の見直しによる効率化といった収益力の強化に重点を置き、2026年2月期に営業利益率で10.1%(2023年2月期7.6%)まで引き上げる計画だ。なお、ヒューリック<3003>、コナミスポーツ(株)との連携による教育特化ビル「こどもでぱーと」は、現在首都圏で8件のプロジェクトが進行しており、うち2件が2025年春に開業予定で、1件が2026年に竣工する予定となっている。同社では2029年までに首都圏で20棟まで「こどもでぱーと」を広げる構想を描いており、同一拠点で複数の教育サービスを提供することによって顧客を囲い込み、顧客LTVとグループシナジーの最大化を実現する戦略だ。少子化が進むなかでも高品質な教育サービスを求めるニーズは減らないと見ており、複数の教育サービスを提供する強みを生かしてこれらの需要を取り込み、持続的な成長を目指す。なお、株主還元については配当性向50%以上を目途に実施することを基本方針とし、2024年2月期の1株当たり配当金は10.0円(配当性向74.9%)とすることにした。

■Key Points
・2023年2月期は人件費を中心としたコスト増により減益となるも売上高は過去最高を更新
・2024年2月期は値上げ効果と経費削減等により2ケタ増益に転じる見通し
・2025年春に「こどもでぱーと」を開業予定、2026年2月期に売上高395億円、営業利益40億円を目指す中期経営計画を策定

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 リソー教育 Research Memo(1):2024年2月期は収益力の強化に重点を置き2ケタ増益を目指す