*16:11JST スカラ Research Memo(11):中期経営目標達成に向けた成長の種が芽生え始め、育成ステージに移行 ■今後の見通し

2. 中期経営計画の進捗状況
スカラ<4845>が2019年8月に発表した2030年までの中期経営計画「COMMIT5000」では、同社が持つ「真の課題を探り出す能力」(価値創造経営支援事業)、「リソースの埋もれた価値を炙り出す能力」(IT/AI/IoT関連事業)、「課題とリソースの最適な組み合わせを提案・実行し価値を最大化する能力」(社会問題解決型事業)という3つのケイパビリティを強みとし、これらを連携させながら中長期的な成長を目指していく基本方針を打ち出した。経営数値目標としては、2025年6月期に売上収益1,000億円、営業利益100億円、2030年6月期に売上収益5,000億円、営業利益500億円を掲げている。

成長モデルである「価値創造経営支援+DX支援」の「型」づくりを共同開発パートナーと行い、同モデルを横展開していくことで既存事業の拡張・深耕を図るとともに、M&Aや新規事業・サービスの開発等を積極的に進めることで成長を加速していく戦略だ。また、投資ファンドによるキャピタルゲインの獲得や投資先企業へのITシステム構築、各種サービス提供によるストック収入の積み上げなども成長要因となる。

とりわけ、DXが遅れている地方自治体向けを成長領域として位置付けており、「逆プロポ」を通じたネットワークの構築やアライアンス戦略を推進しながら事業規模を拡大していく方針だ。xID(株)と共同で進めているマイナンバーカードを活用したデジタルIDソリューションによる行政サービスの高度化支援や、ワーケーション等の取り組みによる地方創生・人口誘致に対する支援、エッグによるふるさと納税システムを起点とした各種行政サービスのDX化への取り組みなどが導入事例として挙げられる。

新たな取り組みとしては、2023年1月に提供開始した畜産DXサービス(「eGプラス」「U-メディカルサポート」)や、2023年6月期にリリース予定の「スマートヘルスケアプラットフォーム」の育成を進める。このうち「スマートヘルスケアプラットフォーム」は、PHR(Personal Health Record)を収集して健康の維持・増進を図る仕組みを構築するため、応用範囲は広く横展開による事業規模の拡大が期待される。

コロナ禍の影響もあり、2023年6月期第2四半期累計までの進捗状況は当初計画よりも遅れてはいるものの、社会的意義のある新規事業が立ち上がり始めている。2024年6月期以降は育成・横展開を進め、リソースが不足する分野についてはアライアンス戦略も取り交ぜながら効率的に事業拡大を図っていく。M&Aについても引き続き検討していく方針だ。事業の優先順位については随時見直しており、新たな事業領域の拡大と選択・集中を迅速な経営判断で推進することで、中期経営計画の達成を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 スカラ Research Memo(11):中期経営目標達成に向けた成長の種が芽生え始め、育成ステージに移行