a) 建設業界の人手不足 建設業界にとって、生産性の向上は喫緊の課題だ。厚生労働省「労働経済動向調査」によると、コロナ禍の影響を受け、2020年8月の正社員等労働者の過不足状況判断指数(D.I.=不足-過剰)(調査産業計)は21(同年2月は38)まで低下したものの、直近の2022年8月は41まで回復している。これに対し建設業は2020年8月で39、直近の2022年8月で57と、調査産業計と比べ労働者不足感が高い。
b) 「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」 政府は2020年12月に、2021年度から2025年度までの5年間で大規模地震対策などを実施する新たな国土強靱化対策を閣議決定した。防災・減災のための国土強靱化計画は、2018年度から2020年度までの3か年の事業規模が7兆円だった。これに対し、新たな5か年対策では15兆円が見込まれている。豪雨対策や交通網維持に対し約12.3兆円、インフラ老朽化対策を加速するために2.7兆円、防災のための災害情報の充実などデジタル化の推進に2,000億円を充て、大規模地震対策など123事業を実施する。重点プログラムは、激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策の加速、国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進が挙げられている。
c) 「NETIS」(公共工事における新技術情報提供システム) 国土交通省は2006年度に、公共工事等に関する優れた技術を持続的に創出していくため、民間事業者等により開発された有用な新技術を積極的に活用する目的で、データベース「NETIS(ネティス)※」を整備した。新技術情報の収集・共有、積極的な現場導入、導入現場での活用効果の調査、調査結果に基づく事後評価という一連の流れを制度化し、有用な新技術の活用と技術開発のスパイラルアップを図る総合的な仕組みとなっている。評価結果が優れている新技術については、総合評価落札方式や工事成績評定において加点対象となるなどのインセンティブが付与される。
※New Technology Information Systemの略で、新技術情報提供システムのこと。