■今後の見通し

1. 2022年12月期の業績見通し
東京通信<7359>の2022年12月の連結業績見通しは、売上高5,300百万円、営業利益10百万円(同97.9%減)、経常利益10百万円(同97.6%減)、親会社株主に帰属する当期純損失140百万円(前期は202百万円の利益)を想定しており、2022年5月発表の修正予想から変更はない。同社グループでは第2創業期を迎えて、2022年2月に成長戦略を策定しており、世界を代表するデジタルビジネス・コングロマリットになることを目指している。そうしたなか、2022年12月期は一時的な費用の拡大(新規事業を中心とした先行投資、本社移転の費用計上など)に踏み切っている。既存事業(インターネットメディア事業、プラットフォーム事業、インターネット広告事業)で創出した利益を複数の新規事業へ投資し、事業ポートフォリオを拡大し、次なる収益柱の確立を目指していく考えである。

セグメント別の見通しは以下の通りとなっている。

(1) インターネットメディア事業
インターネットメディア事業の業績見通しは、売上高3,240百万円(前期比1.2%減)、セグメント利益432百万円(同36.4%減)である。売上高は「Save them all」に続くヒット作を創出できていないなどの状況を考慮している。セグメント利益は、減収に伴う減益に加え、東アジアへのアプリ提供の本格化、Play-to-Earn領域のインセンティブゲーム、自社コンテンツの家庭用ゲーム機等のプラットフォームへの展開、ECサイトでの音声コンテンツ販売、教育関連アプリの開発等の新規領域への挑戦を目的とした追加開発を行う先行投資に関わる影響も見込んでいる。2022年12月期第4四半期では、10月にApp Store(国内・無料ゲーム)にて第1位を獲得した「Draw flights」をヒット作にするための運用に注力していく。また、並行して新規タイトルの開発にも注力していく方針だ。同社には「Save them all」などのヒット作を開発したノウハウがある。今後も世の中のトレンドを的確に捉えながらゲーム開発に反映させていく方針である。

(2) プラットフォーム事業
プラットフォーム事業の業績見通しは、売上高1,728百万円(前期比35.7%増)、セグメント利益216百万円(同18.3%増)である。売上高は、電話占い「カリス」に加え、電話占いのノウハウを活用した恋愛相談サービスも計画中であり、それらが堅調に推移することが考慮されている。また、9月にリリースされたライブコマース「PCAN LIVE」が寄与することも想定している。セグメント利益には、新規事業(ヘルステックアプリ「OWN.」、ライブコマース「PCAN LIVE」、メッセージアプリ「B4ND」)の先行投資に関わる影響が含まれている。2022年12月期第4四半期にかけては、ヘルステックアプリ「Own.」の新規ユーザーの獲得に注力していく方針だ。

(3) インターネット広告事業
インターネット広告事業の業績見通しは、売上高244百万円(前期比51.4%増)、セグメント損失18百万円(前期は営業利益51百万円)である。売上高は堅調であった既存案件の需要が落ち着き、第1四半期、第2四半期のトレンドが継続することが見込まれている。利益については、SEOコンサルティングサービスなどの新規商材開発のための費用増が考慮されている。2022年12月期第4四半期にかけては、第3四半期に好調であったSEOコンサルティングサービスの梃入れを行っていく。

(4) その他セグメント
その他セグメントにおいては、売上高88百万円(前期比383.7%増)、セグメント損失144百万円(前期はセグメント損失112百万円)の見通しである。投資事業やソリューションセールス事業に加え、事業ポートフォリオの拡大を見込み、メタバース事業及びデジタルサイネージ事業の取り組みを進めている。なかでも、メタバース事業は、既存事業(インターネットメディア事業、プラットフォーム事業、インターネット広告事業)とのシナジー効果も期待でき、より成長を加速させるための開発体制の強化を計画している。実際、街づくりプラットフォーム構築プロジェクトのAMIZAは順調に進捗しており、これらの新規事業を2023年12月期以降の業績拡大につなげていく方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 東京通信 Research Memo(5):ハイパーカジュアルゲームでヒット作創出し、利益達成を目指す