■業績動向

トヨクモ<4058>の2022年12月期第1四半期の単独業績は、売上高で前年同期比42.1%増※の439百万円、営業利益で前年同期比43.3%増の208百万円、経常利益で同43.3%増の208百万円、四半期純利益で同41.1%増の142百万円となった。売上高については、安否確認サービス、kintone連携サービスが共に良好に推移した。営業利益が大幅増益となったことは、同社の想定より広告宣伝費の伸びを少なく抑えられたことが寄与した。

※同社は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年12月期第1四半期会計期間の期首から適用している。前年同期比は、2021年12月期第1四半期の売上高を新基準で換算した309百万円と比較。


2022年12月期第1四半期の売上高は前年同期比(前年同期を新収益基準で換算して比較)42.1%増の439百万円であり、高成長が続いている。サービス別売上では、安否確認サービスが同34.4%増の176百万円、kintone連携サービスが同47.2%増の262百万円であり、共に良好に推移している。売上総利益は同44.7%増の427百万円であり、売上総利益率は97.4%(前年同期は95.5%)と高水準が維持できている。売上原価が前年同期比で少なく収まっているのは、収益認識基準の適用でkintone連携サービスの関連する仕入原価が減少したためである。営業利益は同43.3%増の208百万円であり、営業利益率は47.5%(前年同期は46.9%)となった。人件費や広告宣伝費が増加したことで営業利益率は低下したが、増益幅は売上高の伸びよりも大きいため、弊社では良好な決算であったと捉えている。

同社の2022年12月期の広告活動予算は500百万円である(前期実績は368百万円)。各四半期のウェートは、第1四半期:第2四半期:第3四半期:第4四半期=20%:20%:30%:30%という計画となっている。第1四半期の広告宣伝費の実績は60百万円であり、予算消化率は12%にとどまった。冬季オリンピックの影響等で広告枠の確保が進まなかったことに加え、ロシアのウクライナ侵攻の影響も考慮した結果である。

同社が重要視している各指標は順調に推移した。2022年12月第1四半期末の有償契約数は9,522件(2021年12月期末比611件増)となった。サービス別の有償契約数は、安否確認サービスが2,831件(同134件増)、kintone連携サービスが6,721件(同477件)であり、ともに順調に推移した。なお、kintone連携サービスの同時購入数は1.60契約/社と右肩上がりでの推移が続いており、複数サービスを同時に購入するケースが増えていると推察される。チャーンレートは0.68%であり、kintone連携サービスの一部でスポット案件が終了した影響が見られたものの、低水準が維持されている。LTVは全サービスの単純平均LTVで225億円(同:231億円)であり、案件終了等による影響が見られた。個別サービスのLTVは437億円(同:414億円)であり、安否確認サービスの順調な拡大で、右肩上がりで推移している。

2022年12月期通期会社計画に対する2022年12月第1四半期の進捗率は、売上高で23.2%、営業利益で39.4%、経常利益で39.4%、四半期純利益で39.6%となり、各利益の進捗率は良好である。同社の売上高の99.9%がストック売上であるため、売上高は右肩上がりでの推移が見込まれる。第1四半期の売上高の進捗率は23.2%となっているが、弊社では悲観視は不要と考える。

同社は、毎月15日前後に月次売上の速報値を発表している。2021年12月期の月次累計売上は、前年同月比140%台が継続しており、順調に積み上がっている。なお、2021年6月にはシステムのパフォーマンスを向上するための短期利用オプションが含まれている(約8百万円)ため、月次売上は大きく伸長した。2022年6月の月次売上には、当該オプション分が剥落することは考慮する必要がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 藤田 要)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 トヨクモ Research Memo(5):2022年12月期第1四半期は、広告宣伝費が抑えられ、大幅営業増益