■日本動物高度医療センター<6039>の成長戦略

1. 市場環境
動物高度医療の市場環境は良好である。過去2年は新型コロナウイルス感染症拡大を契機に猫飼育需要が高まり、新規犬猫飼育頭数が大幅に増加している。そして、ペットの家族化に伴って1世帯当たりの動物病院支出額は増加基調であり、ペット保険の市場規模も2ケタ成長が続いている。ペットの医療は飼い主の住居に近い「かかりつけの動物病院」で診療(一次診療)を受けるのが一般的だが、飼い主の間に「ペットにも人間と同じように高度な医療を受けさせたい」として高度医療(二次診療)に対するニーズが一段と高まっている。


動物医療業界の総合的企業を目指す
2. 動物医療業界の総合的企業を目指す
このように良好な事業環境も背景として、成長戦略には拠点と連携病院数の拡大、人材の確保・育成、M&Aも活用した事業領域の拡大を掲げ、動物医療業界の総合的企業を目指すとしている。拠点拡大については、大阪病院の開業(2023年3月頃予定)によって、関西エリアを中心に連携病院比率の引き上げを推進する。人材の確保・育成では、愛玩動物看護師の国家資格化(2023年2月中旬に第1回愛玩動物看護師国家試験実施予定)による業務効率化を推進する。M&Aも活用した事業領域の拡大では、子会社化したテルコムとのシナジー創出を推進する。なお2019年2月にリリースしたペット用活動量計「PLUS CYCLE(プラスサイクル)」については、日本電気<6701>(NEC)の愛玩動物コミュニケーションプラットフォームサービス「waneco」と連携して普及を促進している。

3. 新たな成長ステージへ
ペット市場及び動物高度医療の市場環境は良好であり、さらなる市場拡大余地も大きい。弊社では、良好な市場環境、高度な医療サービスを提供できる総合動物病院としての強み、大阪病院の開業、子会社化したテルコムとのシナジー効果によって、新たな成長ステージに入る可能性が高いと評価している。



■株主還元策

内部留保充実を優先して当面は無配継続方針
同社は株主に対する利益還元を重要な経営課題の1つとして位置付けているが、現在は事業の拡大過程にあるため、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保の充実を図り、財務体質の強化と事業拡大のための投資等に充当し、より一層の業容拡大を目指すことが株主に対する最大の利益還元につながると考えている。このため創業以来2022年3月期まで無配当としている。今後においても当面の間は、優秀な人材の採用及びサービス向上に資する設備投資等のための必要資金として、内部留保の充実を図る方針としている。なお大阪病院開業によって大型設備投資が一段落するため、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益配分を検討するが、配当実施の可能性及び実施時期等については現時点では未定としている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 動物高度医療 Research Memo(6):動物高度医療の市場環境は良好