(4) 物流におけるDX推進 同社は物流事業に関するDX推進を主業務とする「DX事業推進室」を新設した。同社の物流サービスやビジネスモデルの変革・進化を促進することを目的としており、最先端テクノロジー・デジタル技術の活用に向けた検討や実証実験を実施し、効果の見込める技術やシステムについては随時導入を進めている。一例を挙げると、RPA(Robotic Process Automation)活用によるPC上の定型作業自動化、クラウド型配送案件管理システム導入による配車業務の省力化、AI画像解析技術を用いた検品業務自動化・省力化に向けた顧客への提案活動などがある。このほか、電子(RFID)タグ読取時の位置情報特定において特許技術を持つRFルーカス(株)への出資により、ドライバーをはじめとする人手不足やEC市場拡大による荷量急増への対応など、物流業界の諸課題の解決につながると期待されている。
a) E(Environment) 温室効果ガスの削減に取り組んでおり、神奈川県から福岡県までの在庫移動に際して、海上輸送を利用することでCO2の削減に貢献したとして、エコシップマーク優良事業者として認定されたほか、倉庫内照明のLED化やエネルギー高効率設備への更新の成果として、直近5期の二酸化炭素排出量削減などが評価され、2020年度東京都地球温暖化対策報告書制度において、特に優良な事業者として「地球温暖化対策優良事業者」Sランクの評価を獲得した。
b) S(Social) 本社が所在する周辺や公園の清掃活動を継続して行っているほか、震災などの大規模災害発生時に緊急支援物資を保管し、避難所等へ送り出すための拠点として行政が定める「民間物資拠点(災害時の緊急支援物資保管拠点)」として、同社の11拠点が指定されている。また、ホワイト物流推進運動への参加により、トラック運転手不足が深刻になっている現状に対し、物流の改善提案やモーダルシフトなどの取り組みによる効率的なサプライチェーンによって持続可能な物流の実現を目指している。
c) G(Governance) 2020年2月には、取締役の指名・報酬に係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化し、コーポレートガバナンスの更なる充実を図るため、指名・報酬諮問委員会を設置した。また同年6月には、経営の効率化と意思決定の迅速化を図ることを目的に執行役員制度を導入し、経営の意思決定及び監督機能と業務執行機能を明確化した。合わせて、取締役及び取締役を兼務しない執行役員の報酬と同社の業績及び株式価値との連動性をより明確にし、役員が株価上昇によるメリットのみならず、株価下落リスクまでも株主と共有することで、中長期的な業績の向上と企業価値の増大に貢献する意識を高めることを目的に、株式報酬制度「株式給付信託(BBT(Board Benefit Trust))」も導入している。そのほか2021年6月の株主総会では、社外取締役を1名増員した。