■今後の見通し

1. 2022年3月期通期決算見通し
極東貿易<8093>の2022年3月期の業績見通しについては、2022年3月期から適用される「収益認識に関する会計基準」及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」により、従来まで総額表示をしていた代理店収益が純額表示となるため売上高は40,000百万円となるが、営業利益850百万円、経常利益12,50百万円、親会社株主に帰属する当期純利益850百万円を見込んでいる。

2. 2022年3月期事業セグメント別決算見通し
(1) 基幹産業関連部門
重電設備事業では、業界大手取引先の設備投資意欲が抑え気味に推移することから、収益は前期並み(売上総利益1,200百万円)に推移すると見込む。なお、売上高は「収益認識に関する会計基準の変更」の影響がある。また、資源開発機器事業では、納入延期となっていた大型案件の納入に加え、地熱・掘削機器関連の好調により増益(売上総利益350百万円)が見込まれる。

(2) 電子・制御システム関連部門
画像機器の伸長が期待できるとともにロシアのバス・トラック向けバッテリー事業が堅調に推移することが見込まれ、増益(売上総利益1,220百万円)の予定としている。なお、売上高は「収益認識に関する会計基準の変更」の影響がある。また、電子機器事業では、半導体関連事業は縮小する一方で、地震計事業をM&A(2020年10月に同社の連結子会社日本システム工業が(株)ミツトヨから地震計関連事業を譲受)を行い、これまで特定市場(原子力発電所)の販売に限られていたが、今後は地震計の“フル市場”(鉄道、気象庁等)への販売となり、2023年3月期以降に本格的市場拡大が見込まれる。

(3) 産業素材関連部門
主力市場の自動車産業は半導体不足の影響が残り、樹脂・塗料事業の国内市場は2021年7月以降回復するも海外向けが伸び悩み減益の見込み。また中長期的見通しでは、同社の樹脂・塗料事業は自動車内装品、ランプ等で使用されており、今後自動車業界の急速な非内燃機関シフト(電動化や燃料電池車)が起きても需要に大きな変化はなく、市場リスクはないものと思われる。

(4) 機械部品関連部門
ねじ関連事業では、2021年3月期終盤から復調した建機向け、産業機械向け等が引き続き堅調に推移するとともに海外向け需要も復調が予想され、ばね関連事業も車載備品用定荷重ばねの量産受注が見込まれる。売上高は15,000百万円、売上総利益3,290百万円(さらに上振れの可能性もあり)とコロナ禍以前の売上高・収益水準に復調しそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水啓司)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 極東貿易 Research Memo(7):コロナ禍などで先送りされた需要のリバウンド効果に期待