■SDGsの取り組みについて

KADOKAWA<9468>ではSDGsを意識した経営に取り組んでいる。SDGsとは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、持続可能な社会を実現していくために必要となる17の開発目標を設定、2015年の国連サミットで採択されたものとなる。テーマは貧困問題や健康、教育、エネルギー、環境など多岐にわたっており、SDGsに取り組むことは、同社の経営理念である「不易流行」とも合致している。同社におけるSDGsとは、“コンテンツのサステナビリティの実現”であり、1)継続的に創出したIPを世界に広げ、また次代につなげることで、人々により深い知識や価値観と感動を与える 2)商品の製造・流通・販売面でも持続可能性に配慮し、社会・環境に貢献する、の2つをテーマとして掲げている。

具体的な取り組み事項と成果は以下のとおり。

(1) 出版事業の製造・物流改革により紙の余剰消費削減・森林を保全
書店専用発注・自動追走システムを書店に導入していくことで、返品率を改善し生産数の最適化に取り組んでいる。対生産純出荷率(冊数ベース)※は2020年3月期の75.0%から2021年3月期は77.2%に改善した。冊数にして、339万4,000部、紙資源にして1,557.7トンの余剰を削減した。

※書籍の総生産部数のうちの純出荷部数(送品部数-返品部数)の比率


(2) 多くの人々に、高等教育・専門教育を受ける機会を提供
「N高等学校」の生徒数は2016年4月の1,482人から2021年5月にはおよそ18,731人(「S高等学校」含む)に増加した。また、KCA(KADOKAWA Contents Academy)の累計生徒数は4,726人(台湾、タイ校)、バンタンでSDGs関連授業を15件実施(2021年3月期)している。

(3) ABW推進でコロナ禍に対応、ジェンダー・多様性などにも配慮
高いリモートワーク率による子育て・介護世代も働きやすい環境整備(KADOKAWA、ドワンゴのテレワーク率は約7割)や、外国籍及び女性役員の登用や障がい者雇用も拡大していく。「ところざわサクラタウン」におけるオールジェンダートイレ設置や地産地消による地方創生への貢献、海賊版排除による不公正是正に取り組んでいく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


<EY>
情報提供元: FISCO
記事名:「 カドカワ Research Memo(10):“コンテンツのサステナビリティの実現”として2つのSDGsテーマに取り組む