■今後の見通し

(2) プラットフォームサービス事業
ビジネス・ブレークスルー<2464>のプラットフォームサービス事業については、売上高で前期比2%前後の増収となる見通しだ。第1四半期にAJBの売上が落ち込んだ影響で前年同四半期比10.7%減と落ち込んだものの第2四半期は同6.2%増収と回復しており、第3四半期以降も6%程度の増収が続く見通しだ。一方、セグメント利益は校舎改装費用や新規開校のための費用などを第2四半期までに計上したこともあって減益で計画している。前述したようにAJISの新年度スクールイヤー生徒数は前年同期比9.1%増と順調な滑り出しであること、AJBの各キャンパスも通常の運営に戻っていることなどから大きな変動はないものと考えられる。

AJISの光が丘キャンパスについては、AJBの各拠点からの進学希望生徒数が増加しており、外部からの受入れが難しい状況になってきたことから、2020年夏に校舎の改装・改修工事を行い、収容定員数を約15%増強(約75名増)した。2021年夏にも改装・改修を行う予定で(投資額は約170百万円)、定員数を増員する予定だ。さらには、2021年度は新キャンパスとして「AJIS駒込キャンパス」(文京区)を新設する。2020年6月に学校法人文京学園とグローバル人材の教育面で提携・協業し、その一環として現在のAJIS中等部・高等部門を「文京学院大学女子中学校・高等学校」の校舎の一部に移転し、「AJIS駒込キャンパス」として開設する。場所はJR山手線の駒込駅が最寄り駅で、当初の計画では2021年夏の開設予定であったが、コロナ禍の影響で許認可手続きが遅れ、開設時期が2021年度内にずれ込む可能性もあるとしている。校舎改装等の設備投資額として数億円程度を見込んでいる。

定員数についてはまだ確定していないものの、光が丘キャンパスと合わせた合計では、1.5~1.7倍に拡大する見通しである。同社ではプラットフォームサービス事業についてHub&Spoke戦略を打ち出し、ここ数年はAJBのバイリンガルプリスクールを年間1~2拠点のペースで開設すると同時に、AJISの新規校舎を都心に近い場所で探してきた。今回の駒込キャンパスの開設により、当初構想の完成形に一層近づくことになる。バイリンガルプリスクールについては2021年春に下目黒キャンパスの開設を予定しており、その後については状況を見ながら判断していくことにしている。AJISはバカロレア認定校であるだけでなく、前述したようにオンライン教育を既に実践しており、その取り組みや評価も年々高まっているだけに、今後も生徒数は順調に拡大していくものと予想される。

今回の新設計画によって、プラットフォームサービス事業における生徒の収容能力は2,000名前後まで拡大する見通しだ。2020年9月時点の生徒数が1,156名であり、売上換算すると約2倍のポテンシャルが生まれることになる。2021年までは投資が先行するため、利益面での伸びは低くなると予想されるが、減価償却費の負担がピークアウトすれば利益率も上昇することになる。償却前営業利益率では17%程度の水準が見込まれ、中長期的に同社の収益成長に貢献するものと期待される。

なお、2018年10月に子会社のアオバが文部科学省より「国際バカロレアに関する国内推進体制の整備」事業を受託し(最大5年度)、IB認定校や大学、企業等で構成する「文部科学省IB教育推進コンソーシアム」を創設、IBの普及に向けた様々な取り組みを行っている。2019年度は同コンソーシアムにおいて、IBに係る諸課題の把握と優先的に取り組む事項の策定を行い、また、ITCプラットフォーム上で、IBに関する国内での事例共有やIB関係者へのインタビュー動画等の配信を行った。さらに、シンポジウムの開催や国際バカロレア機構との連携のもとでバイリンガルのIBENメンバー(ワークショップリーダーや認定訪問員等)の養成にも取り組んだ。2020年度はこれまでの活動に加え、IB教育の未導入地域の自治体ならびに関心のある学校や候補校に対して各IB教育プログラムの積極的な推進や助言等の活動を目的とした「文部科学省IB教育導入サポーター」制度に取り組んでいる。文部科学省では国内における国際バカロレア認定校200校を目標として掲げており(2020年11月時点での学校・プログラム単位から数えると認定校122校、候補校を含めると161校)、同社がその普及促進役の機能を果している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 BBT Research Memo(8):企業のDX対応、法人向けオンライン研修サービスの引き合い好調(2)