2018年10月に株式60%を取得しグループ傘下に収めたマルチファイナンス会社のJTRUST OLYMPINDO MULTI FINANCE(JTO)は、オートローン業界の老舗として高い知名度があり、インドネシア全土の支店網や取引金融機関との豊富なネットワークを有している。従来の中古車ローンに加え農機具ローンや新車ローンなど新しい商品の提供を始めてきたが、コロナ禍が拡大しているなかで市場の変化を考慮し、現在は農機具ローンと小口のマイクロファイナンス以外の新規貸付を一旦停止している。JTOのアセットは、2019年1月の89億円が2020年3月には136億円にまで増加したが、同年9月には111億円に減少した。一方、コロナ禍に伴う政府政策による債務再編申請に伴い、90日以上延滞債権率は2019年1月の1.70%から2020年9月には2.99%に上昇しているが、債権回収体制の強化により業界平均(2020年9月末で4.93%)と比較して低い水準に抑制できている。
加えて、2019年8月には、カンボジアの商業銀行42行中でTOP10に入る資産規模(2018年12月末当時)のANZ Royal Bank(Cambodia)の株式55%を取得し、商号をJTRBに変更した。グループ入り後、貸出残高は順調に増加していたが、カンボジア国内でもコロナ禍が拡大しているため新規貸付を抑制した。ただ、同国のコロナ禍は周辺国に比べて軽微であることから、収益力向上に向けて貸出残高の積み上げを再開している。その結果、2020年9月の貸出残高は618億円に増加した一方で、90日以上延滞債権率は0.59%の低位にとどまっている。なお、カンボジアは同社グループにとって6ヶ国目の進出先となる。