■要約

ヒーハイスト<6433>の主力事業は、高度な精密部品加工であり、主に3つの領域(直動機器、精密部品加工、ユニット製品)に分けられている。主要顧客としてTHK<6481>や本田技研工業<7267>(以下、ホンダ)の研究所を抱えており、同社の技術力が高いことを裏付けている。ただし、大部分がOEM供給、研究開発用やレース用車種向けの特殊部品であることから、業績が急変(急増や急減)することは少ない。今後は、現在持っている高い加工技術を生かして新分野へ展開することで成長を目指していく。

1. 2020年3月期(実績):修繕費や償却負担増等で営業損失を計上
2020年3月期決算は、売上高が前期比15.7%減の2,319百万円、営業損失21百万円(前期は177百万円の利益)、経常損失25百万円(同177百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失342百万円(同111百万円の利益)となった。直動機器は主要顧客であるTHKの生産が停滞したことから減収となり、精密部品加工でもレース用車種向けの部品が新型コロナウイルス感染症の影響でF-1レースを含む各種レースが中止または延期となったことなどから減収、ユニット製品は国内向けのリピート需要はあったが中国向けが不振で減収となった。費用面では、減価償却費や修繕費の増加があり営業損失を計上した。また、特別損失として土地や建物、機械設備等の減損損失を計上したことから大幅な親会社株主に帰属する当期純損失を計上することとなった。しかしこれにより、2021年3月期以降は身軽なバランスシートでスタートすることができるようになった。

2. 2021年3月期(予想):新型コロナウイルス感染症の影響で予想発表は未定
2021年3月期通期の業績予想については、新型コロナウイルス感染症の影響が見極められないことから予想発表は未定としている。配当についても未定となっている。合理的な算定が可能となった段階で発表される見込みだ。定量的な予想は未発表だが、引き続き定性的な改善を粛々と進める予定だ。また、事業領域を既存分野以外にも広げる決意も込めて2020年7月1日から社名をヒーハイスト株式会社(英文:HEPHAIST Co., Ltd.)に変更した。

3. 中期経営計画:「不易流行」に基づいたSWOT分析による戦略を推進
特別な中期経営計画等は発表していないが、基本的な経営方針は、松尾芭蕉が唱えた「不易流行」(どのような時代や環境になろうとも、変えてはならないことや、その時代ごとの環境の変化に順応していかなければならないことがある)の考えに基づいている。今後も市場の変化を注視して取るべきアクションを慎重に見極めながらも、一度決めたら素早いスピードでシフトしていくことを経営の基本方針として、この考えに基づいた「SWOT分析」による戦略を遂行する。

■Key Points
・高度な精密部品加工が主力事業、大手向けOEMや特定顧客向け売上高が多い
・2020年3月期業績は、減収に加えて修繕費や償却費増で営業損失を計上も、2021年3月期以降は身軽なバランスシートに
・経営方針は「不易流行」、今後も市場の変化を見極める

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)




<NB>

情報提供元: FISCO
記事名:「 ヒーハイスト Research Memo(1):主力事業は高度な精密部品加工。研究開発用やレース用車種向けに強み