■今後の見通し

● 2020年3月期通期見通し
クオールホールディングス<3034>の2021年3月期の業績は売上高で前期比0.1%増の165,500百万円、営業利益で同15.9%減の6,500百万円、経常利益で同19.0%減の6,500百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同18.9%減の3,300百万円を見込んでいる。新型コロナウイルスの影響が2020年9月まで継続することを前提に計画を策定している。医療関連事業については殆ど影響が出ていないものの、保険薬局事業において、処方箋応需枚数が4月に前年同月比で16.9%減と大幅減となり、処方箋枚数に連動する調剤技術料収入の落ち込みが減益に直結する。ただ、今後感染拡大の動きが収束し、処方箋応需枚数の減少率が緩やかになってくれば、上期業績については上振れの可能性も出てくる。

(1) 保険薬局事業
2021年3月期の保険薬局事業は、売上高(セグメント間取引控除前)で前期比0.5%減の152,356百万円、営業利益で同18.8%減の5,887百万円を見込む。新規出店についてはM&Aを含めて50店舗前後を想定している。2020年4月に調剤報酬改定があったが、今回の改定に関して同社は影響が軽微であったもようで※、引き続きGE医薬品調剤体制加算などの取り組みを推進して、技術料単価の引き上げに取り組んでいく方針となっている。

※今回の改定では調剤基本料の見直しにより、集中率が95%超で、20店舗程度の店舗を抱える薬局チェーン(年間売上高で40億円前後)が最もダメージが大きいと言われている。敷地内薬局や門前薬局を運営する中小規模の企業が該当する。


なお、新型コロナウイルス感染拡大が業績に与える影響の考え方は、以下のとおりとなる。同社の処方箋応需枚数は前期実績で月平均123万枚となっている。技術料単価は処方箋1枚につき決まっているため、枚数の変動が利益にほぼ直結することになる。処方箋応需枚数が前年比で10%減少し、技術料単価が2千円と仮定するならば、営業利益で月当たり2.4億円(12.3万枚×2千円)の減益要因となる。このため2021年3月期については、処方箋応需枚数の動向が収益の鍵を握っていると言っても過言ではない。

(2) 医療関連事業
2021年3月期の医療関連事業の業績は、売上高(セグメント間取引控除前)で前期比17.7%増の15,832百万円、営業利益で同32.7%増の1,784百万円を見込む。藤永製薬の業績が通年で寄与することや、CSO事業並びに医療系人材紹介派遣事業の成長を見込んでいる。

新型コロナウイルスの影響については殆どないもようで、CMR派遣の稼働率アップとアポプラスキャリアにおける業務効率向上と投資抑制により利益率の上昇を見込んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 クオールHD Research Memo(11):2021年3月期業績は新型コロナウイルスの影響を9月まで継続見込み策定