■要約

平山ホールディングス<7781>は、日本のものづくり(製造業)を支える製造支援会社として、インソーシング(請負)・派遣事業や技術者派遣事業、海外事業等を展開する。製造現場の改善につながるコンサルティングサービスをフック役に新規顧客の開拓を国内外で進めている。2018年7月に同業のFUN to FUN(株)を子会社化したほか、同年12月に(株)平和鉄工所、2019年6月に(株)大松自動車(現(株)大松サービシーズ)を子会社化するなど積極的なM&A戦略により事業基盤を拡充している。

1. 2019年6月期業績概要
2019年6月期の連結業績は、売上高で前期比53.3%増の20,841百万円、営業利益で同5.7%減の202百万円となった。売上高はインソーシング・派遣を中心に既存事業が順調に拡大したことに加えて、FUN to FUNの子会社化が大幅増収要因となった。一方、営業利益は、技術者派遣事業やIoT事業等の人員拡充や、成長のための積極投資を実施したことが減益要因となった。FUN to FUNは食品業界や小売業界向けを中心に展開しており、売上高で4,597百万円の増収要因となったが、営業利益はのれん償却76百万円の計上により35百万円の減益要因となっている。当期純利益は、消費税差額収入等があり、4.8%増の364百万円となり、増収増益を確保した。

2. 2020年6月期業績見通し
2020年6月期は売上高で前期比15.2%増の24,000百万円、営業利益で同48.4%増の300百万円と2ケタ増収増益となる見通し。主力のインソーシング・派遣事業や技術者派遣事業の2ケタ成長が続くほか、平和鉄工所、大松サービシーズなど新たに加わった子会社も増収に寄与する。営業利益は増収効果に加えて、不採算だった海外事業の収益改善、のれん償却額の減少などが増益要因となる。当第1四半期の滑り出しは順調で、前年同期比で増収増益となったもようだ。なお、前期に発生したFUN to FUNと大松サービシーズの取引に関する事実関係解明のため2019年8月に第三者委員会を設置し、9月9日付で調査報告書を開示している。2020年6月期業績への影響は、第三者委員会設置費用や監査費用等を販売費及び一般管理費(以下、販管費)として織り込んでいるが、特別損失として計上する可能性もある。一方、特別利益として前期を上回る消費税等簡易課税差額収入の計上が見込まれており、これら関連費用は吸収できる見通しだ。

3. 中期経営計画
同社は中期業績目標として、2023年6月期に売上高400億円、営業利益率で4%を新たに掲げた。成長戦略として、1)新規事業と既存事業の融合による高付加価値サービスの創造、2)サービス業(小売、外食、宿泊、物流等)向けの顧客拡大、3)エンジニア派遣の領域拡大に伴う高付加価値人材の育成と多様な人材採用、4)外国人労働者の受入管理受託サービスを全職種で展開、5)国内の人材ビジネスパッケージ(人材派遣・製造請負、改善コンサルティング、人材教育)の海外展開などに取り組んでいく。特に、AIやIoT、RPA等を製造請負現場に積極的に導入していくことで競合との差別化を図り、シェア拡大と利益率向上を目指す戦略だ。

■Key Points
・人材サービスを国内外で展開、M&Aを活用しながら事業領域を拡大中
・2020年6月期は主力のインソーシング・派遣事業を中心に2ケタ増収増益を見込む
・IoTやAIなどを活用した付加価値の高い人材サービスの提供と外国人労働者の積極活用により年率20%の高成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 平山 Research Memo(1):2023年6月期に売上高400億円、営業利益率4%を目指す