■今後の見通し

● 2020年6月期見通し
フィンテック事業について、市場環境に収益が左右される面があること、投資、育成フェーズにあり、今後さらに資源配分を強化し、更なる投資の可能性もあることから業績変動が大きいため、2020年6月期の業績予想は未開示となっている。オウケイウェイヴ<3808>の戦略上、フィンテック事業とフィンテック以外の事業が連携する部分もあり、前述のとおりフィンテック事業による業績変動により中期的には利益を押し上げる可能性がある一方で、短期的には圧迫する要因になる可能性もあるため、全体の予想開示を控えている。

しかしながら、フィンテック以外の既存事業(コンシューマー・サービス事業、エンタープライズ・ソリューション事業、インバウンド・ソリューション事業)では、OKBIZ.シリーズによる法人向けサービスの伸長、パランティアの製品拡販による新たな収益の創出、インバウンド向け需要の更なる拡大などにより、2019年6月期に比べ2ケタの増収成長を見込んでおり、成長スピードは衰えない。

なお、2019年8月に発表した中期ビジョンでは今後3年を目安に以下の取り組みに注力する計画である。

a) 感謝コミュニティの拡大と収益力の向上
コンシューマー・サービス事業とエンタープライズ・ソリューション事業をソリューション事業(仮称)に統合し、収益とコミュニティ基盤の拡大の実現を目指す。これまでOKBIZ.シリーズのメイン顧客層は国内の大手企業であったが、より柔軟なサービスに見直すことで、国内、海外や企業規模を問わず多くの企業に導入いただけるサービスへと見直し、合わせて法人とのコネクションが多いGRATICAを事業の中に取り込むことで、法人向けに案内を加速する。

b) パランティアのサービス展開
2018年に契約したパランティアのサービスを国内企業やアジア企業に向けて展開する。同社のビッグデータ分析製品は、テロ対策、災害支援、サイバーセキュリティ、金融犯罪摘発、データ駆動型処理、生体研究、顧客審査などの幅広い用途に用いられている。日本、主要なアジア各国の暗号資産取引所にパランティアの製品を提供できる独占権も有しており、対象エリアでの営業展開を開始、強化し、単独での収益化を目指す。

c) フィンテック事業の確立
M&Aで子会社化した各企業とのシナジーを創出させるべく、代表取締役社長の松田氏を中心としたフィンテック室を創設し、フィンテック事業全体のデザイン・コントロールを図る。また、短期的にはフィンテック事業単体での収益化を目指す。



■中長期の成長戦略

同社はフィンテック事業とフィンテック以外の既存事業について見通しを分けている。同社の強みである豊富な顧客基盤、大量のビッグデータを存分に生かせる既存事業については、右肩上がりの成長を見込んでいる。2019年6月期の売上高48.9億円を2022年6月期には100億円以上と2倍以上に成長させる見込みだ。

フィンテック事業については、市況等に影響を受けやすく見通しが立てづらいことから予想は開示していない。しかしながら、同社としては既存事業を上回る成長イメージを持っている。

同社が今まで積み重ねてきた顧客基盤、多くのユーザーとのコミュニティ、豊富なQ&AやFAQ、など同社ならではの強みにフィンテックを掛け合わせることで、感謝の気持ちを価値として利用できる経済圏「感謝経済」の実現を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 内山 崇行)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 OKウェイヴ Research Memo(5):2022年6月期には既存事業での売上高100億円を目指す