「日本企業のモノづくりが海外で勝つために、ツールの力でサポートしていきたいです」と語るのは、リックソフト<4429>の大貫 浩(おおぬき ひろし)社長。ソフトウェア開発のプロジェクト管理ツールで事実上のスタンダードとも言えるAtlassian製品を2009年から販売し、年々成長を続けている。アジアパシフィック地域で販売実績No.1を誇る。

大貫社長は、学生時代からソフトウェア開発に関わってきた。そして大手電機メーカー勤務を経てフリーランスとなりソフトウェア開発のかたわら、海外ソフトウェアの翻訳をボランティアで手掛けるうちに、インターネットで世界中に多くの仲間たちができた。技術力も高い仲間たちの中で知ったのが、ソフトウェア開発プロジェクトの管理ツールであるAtlassian製品だった。

「Atlassian製品は画期的なツールでした。このような優れたツールに投資し、生産性を高めるという考え方が海外にはあった」

当時の日本は、表計算ソフトでスケジュール表を作成し、プロジェクト管理をしている時代。仕様変更に伴う作業の手戻りやスケジュール更新、情報の共有等は進んでいなかった。ソフトウェアのプロジェクト開発を管理する画期的なツールは必ずエンジニアの仕事の効率を高め、開発プロセスを根本から変え、世の中を便利にすると確信した。ダメでもともとの気持ちで、メールでAtlassian本社にコンタクトした。担当者からすぐに返事が来た。

「来週東京に行くから会わないか」

次の週、大貫社長は、ホテルのロビーでAtlassian社のパートナー担当ディレクターとテーブルに差し向いに座っていた。30分で話は決まった。日本で初めての販売パートナーになった瞬間である。

「これで日本企業のモノづくりをもっと強くすることができる。ツールに投資することで、製品開発はもっとスピーディーに効率的に進められるようになる。エンジニアの働き方も根本的に変わる」

もともと、自分でツールを開発したかった。ツールを作る喜びを覚えた学生時代から、ツールへのこだわりがある。
現在、クライアントは大企業を中心に400社を超える。そのうち、100社以上が一部上場企業である。

「将来は自社開発のソフトを、世界中の人に使ってもらうのが夢ですね」と、大貫社長は笑顔で語っていた。



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情報提供元: FISCO
記事名:「 リックソフト---IPO企業~社長の横顔~