■萩原工業<7856>の今後の見通し

● 2019年10月期の業績見通し
第2四半期の業績が期初予想を下回ったが、通期予想は据え置かれた。2019年10月期の連結業績は売上高で前期比9.6%増の29,000百万円、営業利益で同4.2%増の2,800百万円、経常利益で同4.3%増の2,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同6.1%増の2,000百万円となる。

上期の合成樹脂加工製品事業の在庫評価の引き下げ分は、下期に売上計上により取り戻す見込みだ。米国の中国製品に対する25%の追加関税を受け、中国・青島萩原工業有限公司の米国向け鶏舎用カーテンクロスなどの最終加工を日本に移管したことでコスト高となったが、米国の需要家に値上げを受け入れてもらえた。バルチップの販売を担当するEPCのメキシコでの販売において、貸倒引当金(30百万円)を積み立てたが、万が一のことを考慮した結果であり、資金回収を想定している。また、上期には営業外収支で為替差損益が78百万円の減益要因となった。これらの特殊要因を合算すると2億円程度となり、経常利益の期初予想未達額にほぼ相当する。同社は、通期の予想達成のためのハードルは上がったものの、まだ挽回余地があるとして、期初予想を変更していない。

事業別通期予想も変更されていない。合成樹脂加工製品事業の売上高が22,700百万円(前期比8.9%増)、営業利益が2,070百万円(同7.9%増)、売上高営業利益率9.1%を予想している。機械製品事業は、売上高が6,300百万円(同12.4%増)、営業利益が730百万円(同5.0%減)、売上高営業利益率11.6%を見込んでいる。2つの事業が増減を補い合うことで、全体として増収増益となる。

(1) 合成樹脂加工製品事業
合成樹脂加工製品事業は、販売価格の引き上げ後に原材料価格が低下し、リバウンドした水準にある。以前の高値まで原材料価格が急騰しなければ、想定している収益を確保できるとみている。

2018年10月期の期中に買収した2社は、2019年10月期はフルに寄与することになる。2018年10月期の営業利益はEPCが245百万円(8ヶ月)、東洋平成ポリマーが46百万円(3ヶ月)であった。12ヶ月換算する2019年10月期の営業利益予想は、EPCが368百万円、東洋平成ポリマーが184百万円となる。上期の営業利益はEPCが164百万円、東洋平成ポリマーが40百万円であった。EPCとは未実現利益の解消が209百万円の増益要因となる上、M&A費用もなくなる。一方、6月にホルムズ海峡でタンカーが攻撃を受け、原油価格が上昇するなど先行きの不透明感が増した。

(2) 機械製品事業
機械製品事業は、2018年10月期に売上高営業利益率が2017年10月期の10.6%から13.7%へ上昇した。2019年10月期は11.6%へ低下すると予想している。それでも2014年10月期から2018年10月期までの平均11.3%より高い。中国のリチウムイオン電池関連製品の需要が旺盛であったが、バブル化の恐れがあるとして増産投資を行わなかった。東南アジアで新市場開拓を行っているが、プロダクトミックスの違いもあり、利益率を低めに見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 萩原工業 Research Memo(6):2019年10月期通期では、下期に上期の落ち込み分の取り戻しを目指す