■リソルホールディングス<5261>の事業概要

3. CCRC事業
「リソル生命の森」では、スポーツ・ウェルネス・自然を通して“新しい発見(いきがい・絆・健康・くつろぎ)”を提供する、多世代交流型ウェルネス事業を展開。「リソル生命の森」が創立50年を迎えるにあたり、「RE-BORNプロジェクト」を発足。2020年のリニューアルオープンに向け、新設工事ならびに、宿泊・健康施設のリニューアルを2019年度に実施する予定。施設とサービスの上質化、スポーツ・文化・農業などの体験型プログラム拡充等で、顧客満足度向上を図る。同社と千葉大学、千葉県長柄町の3者は、シニアが「健康」であり続け、「学ぶ」ことの満足や「楽しむ」ことの豊かさ、「生きる」ことの充実を追求し、アクティブに過ごす“シニアがいつまでも安心して暮らせるまちづくり”「大学連携型CCRC※」の構想実現を進めている。「リソル生命の森」は、都心から50km圏内という絶好のロケーションに位置し、緑豊かで広大な敷地に、宿泊施設、ゴルフ場、多彩なスポーツ・レジャー・レクリエーション施設、レストランやクリニックも併設する多世代交流型リゾートコミュニティである。千葉大学と連携した生涯学習プログラム(カレッジリンク)を始め、健康寿命延伸を目的とした「リソルウェルネスプログラム(千葉大学予防医学センター近藤克則教授監修)」なども提供しており、プログラムの質・量の充実が進んでいる。ただ、CCRC自体は建設コストや介護や医療面での地域や他社連携が必要と想定されるため、少し幅を持たせた期間を想定する必要のあるプロジェクトである。このため、同社のCCRC事業の現在の位置付けは、「リソル生命の森」のブランディングにおいて必要かつ重要な大型投資期間ということになる。同社は「RE-BORN計画」として温浴施設やグランピング施設を建設するなど、既存施設を中心に上質化を図っている。最近、人気のある他のグランピングリゾートと比べると「リソル生命の森」はスケールが大きく、体験型プログラムやサービスメニューが充実している点で優ると思われる。なお、中期的にリニューアル施設が続々オープンする計画になっていることから、収益は徐々に拡大するだろう。

※リソルグループ・長柄町・千葉大学の「産官学」が協力し、一般的なCCRC(Continuing Care Retirement Community)という概念の枠を超えて進める取組み。「千葉大学」は『知的資源を生かした生涯学習や学生との交流』『予防医学や先進的な健康支援』など主に「学ぶ」「健康」を、一方で「長柄町」は『高齢者の住替え支援』『地域住民との交流』『地域医療機関の連携』など主に「地域社会との協働」を、そして「リソル生命の森」は多彩な施設・プログラム・専門のスタッフを通して『健康寿命の延伸』『スポーツ・趣味活動・各種イベント』など、いきがい・家族や友人との絆づくりや多世代間で交流を促す場の提供をそれぞれ担う。



多彩なサービスメニューを拡充し収益化
4. 福利厚生事業
福利厚生事業は、福利厚生サービス「ライフサポート倶楽部」の仕組みを活用し、企業・団体、そこで働く人とその家族のニーズを捉え、企業の「健康経営®」※サポート、介護・育児やキャリアアップの支援、仕事とプライベートに調和をもたらすメニューなどを提供している。多彩なメニューの中でも、生活習慣病の予防や改善をサポートする「スマート・ライフ・ステイ」、仲間との「絆」構築に最適な運動会や「チームビルディング研修」など、特に「健康・絆・いきがい・くつろぎ」をコンセプトにしたオリジナルメニューで差別化を図っている。顧客企業の福利厚生「費用」を「投資」へと変化させることができるという点で評価は高かったが、やや収益体質の改善・事業規模拡大のスピードに課題があった。また、後述するが、同事業はホテル・ゴルフ・リゾート施設への送客機能も果たすことからグループシナジーの要とも言え、収益化は同社にとって大きな課題であった。分社化に伴う移転等を含めたコストの合理化を推し進め、収益体質強化のために顧客ニーズに合わせシステムを合理化するなど改革を先行してきた。新規サービスメニューを導入して企業ニーズに徹底して対応したことが奏功し、稼働率が上向き、2019年3月期は収益化することができた。今後もメニューの拡充と会員の利用促進に注力し、安定的な収益を得ていくことが望まれる。また、同社グループシナジーの要として果たしていく役割への期待は大きい。

※「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 リソル Research Memo(5):「リソル生命の森」の上質化に向けた準備が進む