■業績動向

2018年12月期決算の概要
ラクオリア創薬<4579>の2018年12月期決算は、事業収益(売上高)744百万円(前期比674百万円の減収)、営業損失1,075百万円(同924百万円の減益)、経常損失1,064百万円(同984百万円の減益)、親会社株主に帰属する当期純損失1,104百万円(同1,046百万円の減益)と、減収かつ損失拡大となった。

期初予想との比較では、事業収益は期初予想の1,388百万円に対して643百万円の未達となった。事業収益の未達に対応して事業費用の縮減を図ったものの、営業損失は期初予想の698百万円に対して377百万円拡大し、前述の1,075百万円の営業損失となった。

同社は2018年12月期の業績見通しについて、2018年10月と12月の2回、修正を発表している。10月の下方修正は中国のZTE Coming Biotech Co., Ltd(中国:以下、「ZTE Biotech」)との合弁解消に伴うものだ。同社はZTE Biotech(中国)と合弁会社に対して同社の2つのプログラムを導出し、その対価としての契約一時金を受け取ることを収益計画に織り込んでいた。しかしながら、ZTE Biotech(中国)のグループ主要会社に対して米国の制裁が科されたことから、合弁会社における2剤の開発や資金調達に大幅な遅延が想定される状況となったため、合弁契約を白紙に戻した。この影響により、事業収益は360百万円、営業利益は320百万円、それぞれ下方修正された。

2018年12月の下方修正は、複数のマイルストン収入が2019年12月期にずれ込む見通しとなったことが要因だ。具体的には、CJヘルスケア(韓国)が進める胃食道逆流症治療薬tegoprazan(商品名「K-CAB®」)の販売開始と、動物薬「GALLIPRANT®」の欧州での販売開始の2つの遅延によるもので、ともに2019年12月期にずれ込んだ。これによって事業収益は285百万円、営業利益は156百万円、それぞれ下方修正された。

一方で、上記を除けば、米国における動物薬2剤の販売を始め、パートナー企業との共同研究や医薬品の開発は順調に進捗し、それらに伴うロイヤルティ収入、マイルストン収入、契約一時金は順調に事業収益として計上された。

同社の収入のベースを形成している米国における動物薬2剤(「GALLIPRANT®」と「ENTYCE®」)からのロイヤルティ収入は、特に「GALLIPRANT®」の販売が好調で、同社の期待以上の収益につながっているとみられる。また、旭化成ファーマ(株)との間では、共同研究の進捗に伴うマイルストン収入と、新規化合物P2X7受容体拮抗薬の導出に伴う契約一時金収入を獲得した。CJヘルスケア(韓国)からは、発売開始のタイミングこそ2019年12月期にずれ込んだが、tegoprazanの製造販売の承認を獲得したことに伴うマイルストンを受領した。これらの結果、最終的に744百万円の事業収益を計上した。CJヘルスケア(韓国)はtegoprazanのサブライセンスを積極的に進めており、これに伴う契約一時金収入も計上された。

費用面では、事業費用全体は前期比250百万円増の1,819百万円となった。内訳として、研究開発費は同226百万円増の1,074百万円となり、事業費用の増加のほとんどを占めた。同社は英国で5-HT2B拮抗薬(RQ-941)の下痢型過敏性腸症候群(IBS-D)を目標適応症とするフェーズ1臨床試験を実施していたが、その完了と費用計上が2018年12月期にずれ込んだことが増加の主な要因だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 ラクオリア創薬 Research Memo(4):ZTE Biotechとの合弁契約解消や複数のマイルストンがずれ込む