(2) 同社の優位性 a) 独自のデータ解析技術 同社の強みは、オープンソースのほか、同社固有のテクノロジーによって収集したビッグデータ(炎上データベース、リスクワードデータベースなど、リスクに特化した独自のデータベースを構築)に対して、複数の大学等との共同研究により開発した形態素解析や画像解析による機械学習(人工知能)・データマイニングを行うことによってリスクを高精度で検知するところにある。さらには、現状の形態素解析等のレベルでは、誤検知が起こり得るため、アナリストによる分析(アナログ対応)との組み合わせにより、結果として費用対効果やリスク検知の精度を高めているところも特長となっている。精度の高い機械学習を実現するためには、膨大な教師データが必要となるが、他社に先行して教師データを蓄積してきたことにより他社が簡単には追いつけないポジショニングを確立した。今後もデータの蓄積を進めることにより人工知能の精度をさらに高め、業務効率化や付加価値の向上に結び付けることが可能である(その結果として、利益率の上昇余地も大きい)。また、データ解析技術は、幅広い領域での活用が見込まれるため、事業の拡張性があるほか、領域を広げることでリスクパターンの精度が高まり、同社固有の技術、ノウハウにつながる好循環も期待できる。
b) 企業リスクに特化したコンサルティング力 リスク検知後のコンサルティング力にも強みを有する。顧客企業にとって、ソーシャルリスクは新しい領域のリスクであることから、リスクの未然防止やリスク発生後の解決方法など対処法が確立できていないケースが多い。同社は、データを収集・分析し、リスクを検知した後、専門スタッフが解決までコンサルティングするハイブリッド型のスタイルにより、他の監視ツール会社や投稿監視会社との差別化を図っている。特に、早期に適切な初期対応を図ることが被害を最小限に食い止めるためのポイントとなるが、同社は、企業リスクに特化することで蓄積してきた豊富な事例をもとに専任コンサルタントによるサポートを行っている。また、業界別のチーム編成を進めており、業界の知識を深めることにより提案力やサービス体制の更なる強化を図っている。
c) 圧倒的な実績 同社は、ソーシャルリスクへの対策ニーズの拡大や独自のポジショニングの確立により、有力ブランドを持つ大手企業を中心に圧倒的な実績を積み上げてきた。豊富な実績は、さらに新規顧客を獲得する際の強みになるとともに、顧客に対する交渉力を強めることで高い収益性にも貢献する。また、優良な顧客基盤やネットワークを有することは、他社との協業を進めるうえでも優位に働く可能性が高い。