■株式の状況

1. 株主還元策
ピクセラ<6731>は、内部留保の充実を勘案しつつ、収益状況に応じた利益還元を行うことを利益配分の基本方針としているが、2016年9月期まで5期連続で営業損失を計上したことから、2017年9月期では黒字転換したものの、今後の事業拡大を考慮すると配当を実施できる財政状態になく、2018年9月期も無配を継続することとしている。

2. 新株予約権発行
同社は、2018年3月5日に、第三者割当により発行される第9回新株予約権218,310個をOakキャピタルに割り当て、同日、Oakキャピタルからの払込が完了した。これにより、同日時点で、潜在株式数は21,831,000株(新株予約権1個につき100株)増加し、当該新株予約権の発行による調達額は21百万円(発行価額は、新株予約権1個当たり100円、1株当たり1円)となり、新株予約権の行使によって見込まれる調達総額は3,100百万円(1株当たり142円)となった。

資金使途としては、事業戦略推進のためのM&Aに大半が充てられる予定。強固な販路を持つEC運営企業、シナジーの見込めるソフトウェア技術等を保有する企業などを候補として、買収または資本業務提携を実行する計画で、新株予約権発行後、最初のM&A案件として、2018年5月17日にA-Stageを買収した。本件買収の株式取得総額900百万円は、第9回新株予約権の行使による調達資金のみでなく、手元現預金からも充てられた。

新株予約権の行使によって既存株式の希薄化が生じるが、事業拡大のためのM&A資金の調達において他に実現可能性の高い手段はない。また、行使価額は第三者算定機関による評価額を上回る金額に設定されている。

Oakキャピタルに対してはこれまで、2015年8月に第三者割当による新株式(発行総額300百万円)及び第6回新株予約権(調達総額1,111百万円)の発行、2016年8月に第三者割当による第7回新株予約権(調達総額1,015百万円)の発行、2016年9月に第三者割当による第8回新株予約権(調達総額1,000百万円)の発行が成されたが、全ての新株予約権が既に行使されていることから、第9回新株予約権についても早期に行使されることが期待できる。また、第9回新株予約権には、市場株価の終値が20取引日連続で行使価額の180%を超えた場合(株式分割等による行使価額及び割当株式数の調整が行われない場合、256円以上に相当)、同社が発行価額相当額で残存する新株予約権の全部または一部を取得できる条項が設けられており、新株予約権行使による普通株式への転換を促進するものとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 廣田重徳)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 ピクセラ Research Memo(5):M&A資金に充てるため、新株予約権を発行