■業績動向

マンション開発において「土地を制する者がすべてを制する」(中村利秋(なかむらとしあき)代表取締役社長)と言われるなかで、ファーストコーポレーション<1430>は本格的に土地開発の専任部隊を置き、良質な土地を確保している。そこにデベロッパーと協調しながら良い建物を建てていく──そうした形で事業を進めているが、現実に造注方式の大元となる建設用地の確保が着実に進んでいる。

直近の主だったものでは、東京都新宿区、稲城市などに良質の用地を確保。これらは2018年5月期中に着工する予定となっており、今後の収益計画が達成されるめどが付く要因となっている。

また、健常シニア向けマンションの企画も進行中であるとのこと。高齢化の進展を踏まえれば、シニア向けは将来性が期待できる分野でもあり、今後は1つの分野として力を注いでいく考えだ。また、案件の大型化が進んでおり、こうした点も収益の向上に寄与していくことになるだろう。同時に、造注方式によって、企画提案型案件の増加が受注獲得に拍車をかけそうだ。

大型案件の中には、デベロッパーと共同事業で行うケースもある。これまでも、ルピアコート西大宮、ウエリス新宿早稲田の森、ジオ新宿若松町などいくつか実績があるものの、今後もデベロッパーと組む案件が多くなっていくものとみられる。

受注拡大とともに、顧客となる取引先も増加した。2016年5月期は16社だったのが、2017年5月期には23社に増えたが、その中には(株)アーネストワン、一建設(株)、NTT都市開発<8933>、日本土地建物(株)、新日鉄興和不動産(株)、三井不動産レジデンシャル(株)、阪急不動産(株)、タカラレーベン<8897>といった大手の著名デベロッパーが多く名を連ねている。現在も新規の顧客との契約が進行しており、今後も取引先が拡大するとともに、ビジネスの幅も広がっていきそうだ。

しかし、懸念材料がまったくない訳ではない。不動産販売が土地の流動性低下を背景に苦戦状態にあるが、同様にマンション用地の確保についても、厳しい環境となっている。

その背景として、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、土地の売主が強気となっていることが挙げられるだろう。相続や工場移転など、土地を手放す要因は様々だが、そのいずれも土地の先高期待感から、少しでも高い価格で売却しようとしており、成約に向けてのハードルが上がっている。さらに、購入するデベロッパー側も、マンション業者だけではなく、ホテル業者が強力な壁になっているという。事業の出口を考えた場合に、マンションの方がホテルに比べて採算面から購入価格を高く設定することが可能なため、用地購入を巡ってマンション業者とホテル業者がバッティングした際、価格を高く提示できるホテル業者にさらわれるケースが目立つ。

このように、用地の取得に不透明感が漂いながらも、マンション工事は当面、好調が予想されることから、今後も成長が見込める状況だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 1stコーポ Research Memo(6):土地の手当が当面の課題に