■今後の見通し

1. 2018年3月期通期見通し
2018年3月期通期についてムサシ<7521>は、2017年10月の衆院選実施を受けて業績見通しを上方修正した(10月31日付)。新しい予想は、売上高38,369百万円(前期比8.8%増)、営業利益1,170百万円(同5.6%増)、経常利益1,211百万円(同2.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益836百万円(同6.9%増)となっている。

上方修正の内訳として、収益押し上げ要素は衆院選実施に伴う選挙システム機材の収益拡大とエム・ビー・エスの子会社化の影響織り込みの2点だ。一方、第2四半期までの動向を踏まえて選挙システム機材事業を除いた全事業では期初予想から見通しを引き下げた。プラス、マイナス両方の見直しの結果、衆院選の効果が残って上方修正となった形だ。

選挙システム機材事業の通期売上高は1,500百万円から4,178百万円に大幅に引き上げられた。2017年9月に衆院選解散となり10月に投開票が実施された関係で、投票用紙など一部の商品は9月に(すなわち第2四半期に)売上が計上された。しかし読取分類機など大半の選挙関連資機材の売上は10月に計上された。なお、同社の上方修正のタイミングが投開票から9日後の10月31日だったことから、さらに上振れとなる可能性があると弊社ではみている。理由は、読取分類機など大型機器では、選挙時に自治体に貸し出した後、その効用が認められて成約に至るケースがあるためだ。そうした案件が複数、上記の数値から漏れている可能性がある。

エム・ビー・エスの収益貢献は売上高3,700百万円、営業利益100百万円(いずれも2017年9月からの7ヶ月分)が織り込まれた。エム・ビー・エスの収益は紙・紙加工品と情報システム機材に分けて計上されるが、内訳としては5対1で紙・紙加工品が圧倒的に多いと弊社では推測している。それゆえ紙・紙加工品セグメントはエム・ビー・エスの影響で上方修正となっている。

上期に不振だった印刷システム機材は、年末・年度末需要が出る下期は上期対比で増収となると期待される。ただし、前述の収益改善の施策が効果を現すまで一定の時間がかかるため前期比では減収となる見込みだ。

情報システム機材の中のメディアコンバート事業の売上高は、期初予想の4,889百万円から下方修正し、3,986百万円(前期比1.4%減)を予想している。採算性重視の姿勢を堅持する方針のため、官公庁の入札案件の受注減少を織り込んだ。同社は今後、官公庁に対しては提案型営業を強化し入札以外での受注獲得を目指す方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 ムサシ Research Memo(6):衆院選実施により上方修正も、一段の上振れの可能性もある