■要約

フジコー<2405>は、建設工事現場で発生する木くず等の産業廃棄物を中心とした各種廃棄物の中間処理(破砕、焼却等)を主力とし、白蟻防除及び老朽家屋等の解体工事も手掛けている。許可品目の多さや多様な廃棄物の取扱い、最新鋭の処理施設と技術の導入などに強みを持つ。また、建設系廃棄物を原料としたバイオマス発電にも取り組んでおり、2016年6 月からは岩手県二戸郡一戸町にて森林資源を活用した「森林発電事業」を展開している。「住まいと環境を守る」を経営理念に掲げ、害虫駆除から各種廃棄物のリサイクル事業、さらには自然エネルギーへの展開など、創業以来、社会的貢献度の高い事業を行ってきた。今後も新たに参入した電力小売事業(一般家庭等)が収益ドライバーとして期待できるほか、強固な財務基盤を活用した事業拡大により持続的な成長を実現する構えである。

ただ、2017年6月期の業績は、売上高が前期比18.4%増の3,363百万円、営業利益が同17.3%減の228百万円と増収ながら減益となった。順調に立ち上がった「森林発電事業」の通年稼働が増収に大きく寄与した一方、主力の「建設系リサイクル事業」などが事業停止処分(60日間)の影響により大きく落ち込み利益を圧迫した。期初予想に対しても、売上高、利益ともに大きく下回る着地となっている。ただ、事業停止の影響を除けば、新たな安定収益源として期待される「森林発電事業」は順調に立ち上がっており、同社の成長戦略そのものはおおむね計画どおりに進展しているものと評価できる。

2018年6月期の業績予想について同社は、売上高を前期比7.0%増の3,600百万円、営業利益を同48.6%増の340百万円と増収増益を見込んでいる。「建設系リサイクル事業」の回復に加えて、「森林発電事業」の安定稼働と新たに参入した低圧電力(一般家庭等)の小売販売が増収に寄与する見通しである。弊社では、「建設系リサイクル事業」が既にある程度の水準まで戻ってきていることや、低圧電力の小売販売についても体制面(営業体制の強化や決済システムの構築など)の整備が進んでいることから、同社業績予想の達成は可能であるとみている。

同社の成長戦略の軸は、「森林発電事業」における電力小売り(一般家庭等)の拡大と強固な財務基盤を生かした既存事業の拡大である。特に、電力小売りについては、同社の発電施設だけでも1万2,000世帯から1万3,000世帯への供給が可能であり、地産地消型の事業モデルとして拡大余地が大きい。また、既存事業においても、後継者問題などに直面している業界の中で、強固な財務基盤と最新鋭設備などに優位性を持つ同社がM&Aや業務提携等によって事業規模の拡大を図る機会は十分にあるとみている。したがって、今後も電力小売りの進捗状況のほか、周辺領域(収集運搬事業など)への拡充を含めた既存事業拡大への取り組みに注目していきたい。

■Key Points
・2017年6月期は「森林発電事業」の通年稼働により過去最高の売上高を更新
・一方、事業停止処分の影響により期初予想に対しては、売上高、利益ともに大きく未達
・2018年6月期は既存事業の回復と電力小売り(一般家庭向け)の拡大が業績の伸びをけん引
・今後もポテンシャルの大きな電力小売りと強固な財務基盤を活用した事業拡大により持続的な成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 フジコー Research Memo(1):「森林発電事業」の通年稼働により過去最高の売上高を更新