以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家もきち♪氏(ブログ「もきちのきもち 株とコンピュータ編」「もきちのきもち ゼロから始めるテクニカル分析編」を運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2017年9月6日23時に執筆

「有事の円買い」というのが定着しています。

何か危険を感じたら、取りあえず円を買えば利益が出ると思われています。困ったことに本当に利益につながる場合が少なくありません。

◆有事の円買い
少し前までは「有事のドル買い」と言われていたように思います。また、「有事のスイスフラン買い」というのも聞いたことがあります。

さらに、本当に危なくなってくると「有事の金買い」なのかもしれません。

そこで、「有事」と「買い」でGoogle検索してみて、何が上位に来るのか調べてみました。

調査日時:2017年9月6日22:44
調査方法:Googleで「有事の 買い」と検索
結果:上位10位までで5位と8位に「ドル」が入りましたが、残りは「円」でした。円が8個、ドルが2個という結果です。

もちろん、日本語で調べていますし、1回の検索ですので厳密ではありません。でも、「有事の円買い」が定着していると言ってもよさそうです。

◆為替水準が決まる要因
為替水準が決まる要因として、以下の3つなどが考えられます。

◇購買力平価:異なる通貨間の購買力(モノやサービスを買うための能力)で決定され、例えばあるモノが日本なら100円、アメリカなら1ドルで購入できるのであれば1ドル=100円になるという考え方です。
◇金利差:金利の低い通貨でお金を借りて、金利の高い通貨を買って金利差で利益を得るキャリートレードによって、金利の高い通貨の押し上げ要因となります。
◇実需:例えば貿易黒字国は外国通貨で受け取った利益を自国通貨に換えますので、自国通貨が高くなる要因となります。

◆有事には
ところで、有事に何が起こるか考えてみます。

有事には被害からの復興のための自国通貨が必要となります。外国通貨を売って自国通貨を買うことになります。

その場合の限度額は外国に持っている資産額になると考えられます。そこで、対外純資産を調べてみます。

「財務省 平成28年末現在本邦対外資産負債残高の概要 参考3 主要国の対外純資産」によると、平成28年末の主要11ヶ国純資産は1位が日本の349兆円で、アメリカは最下位のマイナス947兆円となっています。

つまり、何か事が起こって復興のために自国通貨を用意するときには、米ドルを売って日本円を買う動きが起きやすいと考えられます。

ドル安・円高の動きです。

◆以上から
現状では「有事の円買い」はある程度仕方がないのかもしれません。

とは言っても、有事の種類にもよりますし、影響をマーケット参加者がどう評価するのかにも関わってくると思います。

特に有事の可能性が明らかになった時の初動は投機的な動きだと思いますので、それほど単純だとは思えません。

ただ、有事リスクが伝わったときに円高の動きがあったら、このようなからくりもあるということを頭の片隅に置いておくといいのかもしれません。

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執筆者名:もきち♪
ブログ名:もきちのきもち 株とコンピュータ編
もきちのきもち ゼロから始めるテクニカル分析編


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情報提供元: FISCO
記事名:「 【FISCOソーシャルレポーター】もきち♪:有事の円買いと人は言う