1. 「KBK※2016」中期経営計画の概要 前々回の中期経営計画(KBK Approach to the future)では「信用力の回復」と「収益力の回復」を、前回中期経営計画(KBK 2013)では「収益力の強化」と「株主価値の向上」を掲げ、確実に企業成長と収益改善・拡大を達成してきた。2つの中期経営計画を通して、売上高は約178億円増収(+43%)、営業利益では約6.5億円増益(2.2倍)まで改善・拡大した(数値は、2011年3月期と2017年3月期の売上高、営業利益を比較した)。 やはり、2011年からのM&A(5案件)実行による事業領域の拡大が功を奏している。
a) ねじ関連事業 既存分野では、2018年3月期は中国建材市場の復調、大手ロボットメーカーの新工場建設に伴う受注増、更に、米国の複数の日系大手自動車部品メーカーとの新規受注など売上アップ要因は目白押しである。ヱトーがかつて単独経営であった時代、最盛時の売上高は250億円であった。今回の経営の立て直しで売上高は約133億円まで回復したが、今後も新市場・新顧客の開拓をすることにより持続的増収増益の可能性は高い。
b) 樹脂・塗料関連事業 樹脂・塗料関連事業は、国内・海外の自動車部品メーカーを中心に、海外(米国、中国など)展開をしてきたが、今後も市場拡大が見込まれている。2015年5月にメキシコ現地法人を設立し、中南米市場に本格的参入を進めている。また、中国市場は自動車生産台数が急増しており、同社では現地プロジェクトチームを発足して拡販を進めている。
(2) 新事業の推進と投資機会の強化 …既存商材も含めた注目商材の市場拡大・強化 a) 軽量ケーブル 軽量ケーブルを10年程前から手掛けており、本来は航空機用に開発されたものであるが、燃費向上を目的として、2016年にラグジュアリーカーのワイヤーハーネスに採用が内定し、2018年3月期は量産受注の秒読み段階にある。
b) 原発関連新事業 原発施設向けに地震計を納入している。原発設備は法規制が厳しく、定期検査や更新・取替は短期間で行うことが義務付けられている。地震計の場合13ヶ月ごとに取替が必要であり、消耗品ビジネス(ジレットモデル)に近く収益性の高いビジネスでもある。また、現在は日本国内・欧米の最先端技術・ノウハウを活用し、新商材を立ち上げようとしている。
c) 地下資源掘削装置 日本近海の地下埋蔵資源(石油、メタンハイドレート、地熱など)の掘削装置は、海底資源の新探査船が就航し、2015年に掘削事業予算が付き大量納入となった。今後は原油価格(現在原油価格は低水準で推移)との見合いになるが、メタンハイドレート発掘需要が高まれば、同社にとって大きなビジネスチャンスとなる。