■中長期の成長戦略

1. 業績の成長イメージ
Mipox<5381>では当初、進行中の2018年3月期に営業利益率2ケタの回復を見込んでいたが、日本研紙の収益改善計画も含めて計画全般を見直した。この結果、今期(2018年3月期)は当初計画より成長スピードを緩め、基礎固めをしっかり行うことで、将来の成長シナリオを実現する計画に変更した。

2. 日本研紙の収支改善と組織力強化
もう1つ同社の今後の収益改善にとって重要な課題は、昨年M&Aにより子会社化した日本研紙の収支改善と組織力の強化だ。これを実現するために同社では、以下のような具体的な取り組みを進めている。

(1) 収益改善:本社移転
日本研紙の本社を工場のある福山に移転し、現場力を強化した。さらに無駄なスペースの多かった大阪営業所を移転しリニューアル。

(2) 収益改善:動線の見直しによる効率化
日本研紙の福山工場は長い間レイアウトの見直し等がされておらず、効率が良いとは言えなかった。今後福山工場(製造現場)の動線見直しを進め、設備と人員配置を最適化していき、省人化と効率化を一段と進める。

(3) 収益改善:外注の取り込み
現在、16社の外注先に生産業務の一部を委託しているが、生産体制の見直しを行い、外注の内製化を順次進める。これによって製造コストを削減していく。

(4) 収益改善:原価の見える化
既にMipoxで導入しているSAP(ERP)を日本研紙にも導入し、「原価の見える化」を推進する。これによって粗利率を改善し、海外市場でも競争出来る原価体制にする。

(5) 組織力強化:クロスセリング
「Mipox」、「Ref-lite」、「Nikken(日研)」の3つのブランドによる幅広いラインアップを確立しているが、これをさらに強化して、顧客のニーズに合わせて包括的なソリューションを提供していく。営業面においても、Mipoxがどちらかと言うと技術サポートを伴う営業展開であるのに対して、日本研紙はルートセールス的な営業であることから、これらを効率よく組み合わせることで顧客満足度を高める。

(6) 組織力強化:人材交流
2017年2月に本社を立川から新宿へ移動。同じタイミングで日本研紙東京営業所の社員も新宿オフィスへ。Mipoxと日本研紙の社員同士の交流が活発になり、互いの製品の理解を深め、販売拡大に向けて組織固めを進めている。

これらの施策の実行をまとめると以下のようになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



<HN>

情報提供元: FISCO
記事名:「 Mipox Research Memo(6):2018年3月期は基礎固め、2019年3月期に本格成長目指す