■成長戦略

エニグモ<3665>の中期戦略の方向性は、「ファッションアイテムと出会い、購入し、そして、使わなくなったアイテムをリセールできる出会いから処分までを一気通貫で提供する」BUYMA経済圏の確立を目指すものである。すわなち、「BUYMA」の成長を軸として、メディア事業(アイテムとの出会い)やリセール事業(使わなくなったアイテムの販売)との連携を強化するとともに、更なる関連事業を生み出すことで事業拡大を図る戦略と言える。中期目標については、BUYMA 経済圏の拡大につながる長期的な成長に向けて必要な投資は継続しながらも、増収増益を基調として営業利益50億円を目指している。また、当面の到達点として、アクティブ会員数300万人の積み上げにより、総取扱高1,000億円の早期実現をイメージしているもようである。

また、軸となる「BUYMA」事業については、国内での高い成長率と利益水準の両立を継続するともに、そこで得られたキャッシュを「GLOBAL BUYMA」への投資に振り向け、「BUYMA」を世界的なブランドに育成しながら、市場の大きな北米、高成長のアジア・中東などへと展開していく方針である。「GLOBAL BUYMA」については、インバウンド需要の獲得を目的として日本商材を追加するほか、ターゲット国ごとのマーケティング強化、日本人以外のパーソナルショッパーへの開放などを今期の施策に掲げており、軌道に乗ってくれば、出品数の拡大はもちろん、さらに多様性に富んだ魅力的な品ぞろえの実現が可能になるものと考えられる。また、出品者やユーザーの多様性(地域分散)は為替リスク対策としても有効となるだろう。

弊社では、「BUYMA」の今後の成長性について、認知度の更なる拡大や魅力的な品ぞろえによる訴求はもちろん、ターゲットユーザーの拡大や外部環境(eコマースの拡大やCtoC取引の普及、ソーシャルメディアの発展等)の後押しもあることから、国内においても十分に拡大余地があるものとみており、少なくてもアクティブ会員数300万人、総取扱高1,000億円への到達は可能であると評価している。また、リセール事業等への展開によりさらに事業領域が拡大することもプラス要因となるだろう。一方、類似サービスの出現によるリスクも否定できないが、信用力を含めたブランドの確立やCtoC取引におけるノウハウの蓄積(オペレーションやマーケティング等)、これまで積み上げてきたパーソナルショッパーとのネットワークや会員基盤等は簡単には追いつけない上、スケールメリット(広告費の大規模投入等)や好循環(会員数の多いところに出品が集まり、出品数の多いところに会員が集まる)が成立する事業モデルであることから、同社の成長を妨げる要因にはならないものと考えられる。また、順調に立ち上がってきた「GLOBAL BUYMA」についても、現時点では未知数な部分も多いが、大きな可能性を秘めていることは間違いない。したがって、今後も同社の将来を大きく左右する、1)「BUYMA」自体の成長、2)「BUYMA」を軸とした事業領域の拡大(BUYMA 経済圏の確立)、3)「GLOBAL BUYMA」の進展等をフォローしていきたい。特に、1)については、ニッチからメインストリームのサービスへと次のステージに移ってきたことが、今後の業績の伸びや費用のかけ方にどのような変化を及ぼすのかに注目している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 エニグモ Research Memo(8):メディア事業やリセール事業との連携等により「BUYMA経済圏」の確立を目指す