■事業概要

エスプール<2471>の事業セグメントは、ビジネスソリューション事業と人材ソリューション事業の2つに区分されている。2016年11月期の事業セグメント別構成比で見ると、売上高では人材ソリューション事業が62.9%と過半を占めているが、セグメント利益(営業利益)はビジネスソリューション事業が52.5%と過半を占めている。付加価値の高い事業が同事業セグメントに含まれていることが要因だ。セグメント別の事業内容は以下のとおり。

(1)ビジネスソリューション事業

ビジネスソリューション事業には、ロジスティクスアウトソーシング、障がい者雇用支援サービス、フィールドマーケティングサービス、販売促進支援サービスのほか、新規事業となるプロフェショナル人材バンク(旧顧問派遣サービス)、アルバイト応募受付代行サービスなどが含まれる。2016年11月期の売上構成比で見ると、ロジスティクスアウトソーシングサービスが約30%、障がい者雇用支援サービスが約26%、フィールドマーケティングサービスが約24%となり、残りを販売促進支援サービスや新規事業で占めている。

ロジスティクスアウトソーシングは、子会社の(株)エスプールロジスティクスで展開しており、主にインターネット通販業者向けの商品発送代行業務と、卸売業者や物流業者などの物流センターにおいて業務の全部または一部分を請け負う運営代行業務の2つの事業を行っている。このうち、運営代行業務については競争が激しく収益性も低いことから徐々に縮小しており、今後は商品発送代行業務に注力していく方針となっている。商品発送代行業務では、東京都大田区平和島と茨城県つくば市の2拠点で事業運営しているが、2017年1月に東京都江戸川区に3拠点目となる「葛西物流センター」を開設している。

子会社の(株)エスプールプラスで展開する障がい者雇用支援サービスは、企業の障がい者雇用をサポートするビジネスとなる。同社が賃借した土地で養液栽培施設を構築し、「わーくはぴねす農園」として企業に貸し出すことに加えて、当該農園に従事する障がい者を紹介することで収入を得るビジネスモデルとなっている。2010年の事業開始以降、現在までに千葉県内に6ヶ所(市原第1・2ファーム、茂原第1・2ファーム、千葉わかばファーム、船橋ファーム)、愛知県に1ヶ所(あいち豊明ファーム)の農園を開設している。障がい者雇用支援サービスの収益モデルは、契約企業から得る農園の設備販売収入(養液栽培設備の販売)、月額の農園管理料及び人材紹介料となる。

2013年4月から障がい者の法定雇用率が1.8%から2.0%に引き上げられ、障がい者雇用に対する需要が増大するなかで、就労場所と人材の両方を同時に提供する同社のサービスは、利用価値の高いサービスとして年々注目度が上がっている。2016年11月末時点での契約企業数は97社、障がい者雇用者数で453名の規模に達している。なお、同時並行で進めていた障がい者の就職をサポートするための就労移行支援事業所「障がい者就職塾」(5校)の運営については、当初の目的を達成したことや収益性が低いこともあって、2016年11月期に社外に分離(事業責任担当者が独立)している。

子会社の(株)エスプールエンジニアリングで展開するフィールドマーケティングサービスでは、2015年11月期より本格的に開始した東京電力管内でのスマートメーター設置業務(電波調査や機器の設置・交換等)を主力業務としている。

子会社の(株)エスプールセールスサポートで展開する販売促進支援サービスは、クレジットカードや宅配水の販売支援等を商業施設で行う対面型販売促進支援業務や、メーカー担当者に代わって小売店を巡回するマーチャンダイジング業務となる。また、エスプール本体では、主に上場企業等の役員クラス経験者や専門知識を有する有資格者等の人材を、中小企業やベンチャー企業向けに派遣するプロフェショナル人材バンクサービス(旧顧問派遣サービス)、及び2016年11月期より開始したアルバイト等の求人応募受付代行サービス「Omusubi(オムスビ)」を展開している。

(2)人材ソリューション事業

人材ソリューション事業は、人材アウトソーシングサービスを主力とする子会社の(株)エスプールヒューマンソリューションズで展開する事業で、主にコールセンター業務や携帯電話、家電製品等の店頭販売支援業務への人材派遣サービスを行っている。2016年11月期の売上構成比では、コールセンター業務が約73%、店頭販売支援業務が約22%となり、残りがその他の派遣サービスとなっている。

北海道から沖縄まで主要都市に事業所を12拠点開設している。コールセンター業務への人材サービスの主力顧客としては、りらいあコミュニケーションズ<4708>やベルシステム24ホールディングス<6183>が挙げられる。また、店頭販売支援業務ではコネクシオ<9422>やソフトバンクモバイル(株)(ソフトバンクグループ<9984>)のほか、家電量販店が主力顧客となっている。

なお、同社グループは2016年11月末現在、連結子会社5社と持分法適用関連会社2社で構成されており、エスプール本体は持ち株会社及び新規事業開発の機能を担っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 エスプール Research Memo(2):ビジネスソリューション事業と人材ソリューション事業の2事業を展開