■今後の見通し

(4)アライアンス戦略を強化

エイジア<2352>は中長期的な成長を見据えて、製品・サービスの強化や販路拡大につながるアライアンスを積極的に展開していく方針で、今後数年間で数億円規模の投資を行っていくことを検討している。2016年9月末の現預金は760百万円あるが、事業活動資金としては3億円程度あれば十分賄える水準であり、残り4億円強の投資余力がある。

投資対象としては今後同社が注力していくAIやIoTに関連するサービスの強化につながる企業となる。AI技術については既にメタデータと資本提携を結んでいることから、フュージョン(株)のようなコンサルティング力を持つ販売系の企業が対象となる。特に「WEBCAS AR」の販売開始によってコンサルティング力が営業活動において今まで以上に必要となってきている。営業リソースの不足分は提携先を拡大していくことでカバーしていくことになる。また、IoT分野においてはIoTで得られたビッグデータを分析し、マーケティング戦略に活用するサービスを提供していく予定で、メーカーやSI企業などとの提携を視野に入れている。

2016年に発表したアライアンスも、こうした中長期の成長を見据えた戦略の一例と考えられる。10月には、ダイレクトコミュニケーションに特化したアウトソーシングサービスを提供するディーエムエス<9782>と、マーケティングオートメーションを活用したEC事業者向け販促支援サービスの、共同提供を発表。11月の発表は、IoTインテグレーションやオムニチャネルパッケージ等を提供する(株)エスキュービズム、人工知能技術を使ってWebサイトのコンバージョン改善提案サービスを提供する(株) WACUL、Webサイト構築・運営プラットフォーム「SITE PUBLIS」等を提供する(株)ミックスネットワークの3社と共同で、ECサイトやWebサイトのコンバージョンアップへ向けたトータルソリューションの提供を目的に協業を開始するというもの。相互の製品をクロスセルしていく格好となる。今後、協業関係を深めた上で、資本提携まで発展する可能性も考えられる。

(5)社員数の状況について

同社では将来の成長を見据えて、2014年春より新卒社員の採用を開始した。ソフトウェア業界ではここ数年、慢性的な人手不足が続いており、新卒の採用も困難になっているなかで、同社は2017年春の新卒採用で7名(うち技術職6名)と計画どおりの採用を行うことができた。従来は、会社説明会の参加人数を集めるにも苦労していたが、今期は説明会の参加人数が前年比で3倍に増加したことが大きかったという。3倍増となった理由は簡単で、前年までは学生の集客を人事部で行っていたが、今年からマーケティング部が担当することになったという。マーケティングに精通した本職のスタッフによって、Webサイトの募集ページのコンテンツを大幅に見直したほか、効果的なメール配信をOne to Oneで行ったことが参加者の大幅増につながったと見られる。当初の目標が同じでもマーケティング施策の違いによって、結果が大きく変わってくる好例とも言える。

なお、同社グループの社員数は2016年9月末時点で初めて100名を突破した。今下期も中途採用でエンジニアの採用を進めるため、期末では112名程度となる見通しだ。また、2018年3月期末は120名規模まで増員する予定で、リソースが不足するようであれば提携先などに外部委託することを検討している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



<HN>

情報提供元: FISCO
記事名:「 エイジア Research Memo(7):中長期的な成長を見据えアライアンスを積極展開方針